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ベトナムニュース【経済】消費者の購買力が低下

(C) VNEXPRESS

失業とインフレによって、消費者はレストランやショッピングモールを訪れる回数を減らし、日用品をより安価な商品に切り換えている。

最近になって、各週末にホーチミン市とハノイ市の一部のショッピングモールや商業施設を訪れる客の数が減少している。また、ホーチミン市内やハノイ市内の商業施設では空き店舗も目立つようになっている。

消費財の販売から飲食店まで様々な小売業で以前ほど活気がない。

ゴールデンゲート社は、Manwah、Kichi-Kichi、Sumo BBQ、GoGi Houseなど22ブランドの飲食チェーンを全国展開している。飲食チェーン大手であ同社のラン・グエン経理部長は、F&B(フード&ビバレッジ)業界は新型コロナ後に力強く回復した後、2022年末から衰退しつつあると述べた。昨年12月の来客数は計画を下回った。

「テトの後に消費者が支出を減らしたことで、不況がより明白になりました」と最近開催されたイベントでラン経理部長は述べている。

ホーチミン市1区の学校のそばで長年文房店を経営しているキム・ハンさんは、例えば以前の売上が10VNDだとすると最近は6ドンしかないと話す。今年に入ってから生徒たちの購買力は大幅に低下している。キム・ハンさんによれば、両親の収入が不況のあおりを受けているので、子供たちの購買力も下がっている。「それによって、うちの家族も無駄遣いを抑えるようになりました。」とハンさんは話す。

スーパーで毎回購入している商品は変わらないが、購入する量は減らしているとキム・ハンさんは話す。以前は、スーパーマーケットでプロモーションの商品などがあればそれほど必要でなくても購入していたハンさんだが、「最近は必要最低限のものしか買いません」と付け加えた。

小売業者の観点から、Guardian VietnamのCEOであるレ・フイン・フーン・トゥック氏は、消費者の購買力が減少していると指摘する。販売量自体はそれほど変わらないが、消費者はより低価格帯の商品を選択するようになっている。「景気の影響を受けて消費者の財布の紐は固くなり、嗜好品の販売に影響が出つつあります」とトゥック氏は話す。

全国に販売店を展開するある大手小売業者の担当者は、現在の購買力は、昨年の約65%程度に留まっていると指摘する。週末になっても購買力は大きくは伸びていない。

ベトナム自動車製造協会の報告書によれば、2023年1月の自動車販売台数は、2022年12月と比べて51%減少しており、2022年1月と比較しても41%減少している。

統計総局によれば、2023年1月と2月の小売売上高は、994兆2000億VNDで、昨年同期と比べて13%増加しているが、物価上昇による要因を差し引くと増加率は9.1%となる。この数字は、昨年からは改善していることを示してはいるものの、コロナ前の成長予測と比較すると77.7%に留まっている。

ホーチミン市では、旧正月後の2月に消費財とサービスの売上高が一気に5.2%も減少した。このうち小売業の売上が8.3%、宿泊と飲食業が3.2%、旅行業が27.1%減少している。

SSI証券が1月末に公表した小売業界の分析では、今年上半期には業界全体が、購買力低下の問題に直面すると予測されている。高額商品についても、高所得者層は購入を延期するとみられている。

小売業の巨人であるテーゾイジードン社(MWG)は、最近なって今年の売上高を135兆~150兆VND(約7700億円~約8550億円)、利益を4兆2000億~4兆7000億VND(約240億~268億円)とする事業計画を発表した。この数字は、昨年からは成長しているものの、これまでのような2桁成長には届いていない。さらに、この事業計画は、2023年第3四半期から第4四半期にかけて、生産と消費活動が活発化することを前提に設定されている。

雇用と収入は購買力の原動力となる。より多くの人が働いてより多くの収入を手にするほど、消費は拡大する。しかし、雇用面も収入面も今年に入ってから状況は芳しくない。

ベトナム労働総同盟によれば、2022年9月から2023年1月までに1300社の企業の労働者54万7000人近くが、受注減のあおりを受けて労働時間の短縮、停職などの対象となっており、このうち4万8600人以上が失業状態となっている。

ベトナムは輸出加工型の製造業が盛んだが、2023年2月までの輸出額は前年同期比で10.3%減少している。輸出の減少は、様々な業種で拡大の様相を見せている。海外からの受注量の回復が遅く、依然として労働者の削減が勧められている。

それに加えて2月のインフレ率は2022年同期と比べて4.3%上昇しており、ベトナム国家銀行の目標値である4.5%は下回っているものの”注視”すべきレベルにあると判断されている。HSBSのグローバルリサーチ部門で東南アジアを担当するエコノミストのユン・リウ氏は、新型コロナ後の規制緩和による回復が徐々に落ち着き、物価上昇による影響が潜在化してくることで2023年のベトナムの消費の伸びはは5.8%に鈍化すると予測している。

購買力を上げるには?

新型コロナの時期とは違い、輸出が経済を牽引する中で、海外からの受注の減少は、国内の経済成長に大きな影響を与えるようになっている。

ABCベーカリーのカオ・シェウ・ルック社長は、現在の状況では購買力の回復には時間が必要であり、消費者の購買力が完全に戻るまでには今後数ヶ月から、もしかすると年末までかかる可能性があると指摘する。しかし、ルック社長は、先日の3月8日の国際女性の日には購買力が若干持ち直しつつあるのを感じたと話す。

ある大手小売りチェーンの担当者は、マクロ経済は困難な状況にあり、失業者が増え、購買力が低下しているため、購買力が回復するのは今年の下半期以降になるとの見方を示す。

しかし、一部の専門家は、観光業の回復が購買力の早期回復を促す可能性があると指摘する。2月のデータを見ると、小売が低調な中で、サービス、特に旅行関連サービスが成長を続けている。2月だけで見ると、ベトナムには93万人以上の外国人旅行者が訪問しており、コロナ後では過去最高となっている。

2月の中国人観光客数は5万5000人と大幅に増加した。これは、コロナ前の月間平均観光客数の10%に過ぎないが、航空便が制限され、団体旅行が無い中では十分評価できる数字となっている。中国政府が3月15日以降のツアー旅行解禁リストにベトナムを追加したことで、今後、中国人観光客数が爆発的に増加する可能性がある。

一方で、消費が落ち込んでいない商品を見つけて、新商品の発売に投資を集中させるというのも企業が検討すべき方向性だ。フーン・トゥック氏は、シャンプーやボディソープなどの日用品の購買力は低下しているものの、美容関連商品は未だに堅調だと指摘する。

カオ・シェウ・ルック社長も新商品や新サービスを生み出すことが重要だとの見解で一致する。

万6700人を対象に実施されたベトナム消費動向アンケート調査では、消費財市場の成長が”深化”していることを示されている。

その調査結果によれば、消費者は見かけ上の品質、耐久性、価格だけを重視するのではなく、安全性、鮮度、栄養成分、原産地、用途/機能、品質認証などの要素も重視するようになってきている。

例えば食品の場合、選択基準のトップ3は、衛生・安全(55%)、鮮度・味(53%)、購入し易さ(46%)となっている。更に、回答者の47%と41%が、生産者が追跡可能である商品と健康にメリットのある商品には、追加の支出を厭わないと回答している。

eコマースもコロナの時ほど急激には成長していないものの、依然として大きなトレンドであり、企業がより多くのアクセスを獲得し、固定費を削減するのに役立っている。一部の大手企業は、今後もデジタルトランスフォーメーションへの継続的な投資を決めている。

出典:13/03/2022 VNEXPRESS
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