国際特許の共同開発者である女性科学者のホー・ティ・トゥーンさんは、自分は科学への貢献の道を選んだ。しかしそのために両親にわずかなお金も仕送りできないと話し涙を見せた。
トゥーンさんは、ベトナム農業アカデミーを首席で卒業しこれまでに2つの専門書籍を出版し、4つの権威ある国際的な専門書籍の共著者でもある。
ベトナム科学アカデミー・バイオテクノロジー研究所で働く若き科学者ホー・ティ・トゥーンさんは、ベトナムヤングタレント2020にも選ばれている。彼女は正式な博士号はまだ取得していないが、素晴らしい研究業績、国際的に評価された特許、国内外の研究者とのワクチン最適化に関する共同研究など数々の業績を上げている。
29歳の女性科学者にとって、それは立派な成功といえるだろう。ベトナムの農業は、家畜や家禽の疫病による被害を克服するために、具体的で効果のある研究と発明を必要としている。既存のワクチンをどのように使用すれば、最も効果的に家畜の被害を防ぐことができるかという研究もまた農家に計り知れない恩恵をもたらす研究だ。
しかしながら、ベトナムの農業と農家に貢献するために、熱心に研究を続けるこの若い女性研究者の給与が300万ドンしかないというのは驚くべき話だ。この国の研究機関で働く若く優秀な科学者がこのような低賃金で奉仕しなければならないのはなぜなのか?もしかするとその答えは、彼女が博士号を持っていないから、助教授に昇進できていないから、もしくは、何らかの公的な称号を受けていないからと説明されるのかもしれない。しかし、もしそうだとするなら学位や職位にだけ基づいて科学者の給与を決めるのは理不尽といえるのではないだろうか。
科学的研究は、資格や地位だけでなく、研究成果、業績、科学への貢献度に基づいて行われるべきである。また、権威ある国際的な学術雑誌に論文が掲載されていることも評価の対象にすべきだ。世の中には、学術雑誌を名乗りながら費用を払えば利益のために科学的根拠の希薄な論文まで掲載するような雑誌も存在するが、その様な似非科学雑誌への掲載など認めるべきではない。
若い科学者の給与や収入を現在のようなやり方で算出しているようでは、ベトナムの未来は暗いと言わざるを得ない。地位や学位だけではなく科学者の真の価値を評価できるようにしなければならない。
出典: 17/12/2020 – THANH NIEN
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