商工省が主催するVINAEXPO2020で、ベトナム企業のグローバルサプライチェーンへの参入チャンスと課題をテーマとしたセミナーが開催された。
ベトナム裾野産業協会(VASI)のチューン・ティ・チー・ビン事務局長によると、米中貿易摩擦により多くの外国企業が、新しい調達先を探しており、特にCOVID-19の感染拡大後はこの傾向が高まっているとして次のように話した。
「ベトナム企業に対して外国企業がこれほど高い購買需要を見せたのは初めてのことです。以前は、問合せを受けても企業が見積りを送った後は何の返信もありませんでした。しかし、今年は状況が違います。海外企業は、より熱心に工場の詳しい情報を質問してきます」
しかし、ベトナム企業は、価格面で顧客の要求に対応できず苦戦している。通常、バイヤーは、大量発注を約束してくるが、ベトナム企業の提示する見積額は他国の3倍近い価格になることがよくある。
ビン氏によると、ベトナム企業は、事業の初期投資が非常に高く、銀行の金利、非公式なコスト、殆どの原材料を輸入に頼っているなどの理由で製品の価格を下げにくい構造になっており、グローバルサプライチェーンへの参入を難しくしている。
実際、トヨタベトナムの場合、現地調達率は、全体の26%にあたる44社しかなく、そのうち純粋なベトナム企業は6社のみとなっている。また市場規模が小さいこともベトナムのサプライヤーを育成する上での課題になっている。例えば、あるモデルの自動車を生産する場合、ベトナムではせいぜい4000台しか製造しないが、タイではその5倍の製造規模が普通だ。こういった状況でベトナム企業は、そもそもグローバル規模の大量生産に対応できる生産体制を構築できていない。
さらに製品の価格には、金型、材料、人件費、輸送などのコストが関係している。なかでも原材料費は、コストの40%を占めているがベトナムは原材料の調達を輸入に頼っているため、他国よりもコストが高くならざるを得ない。例えばプラスチック材料の場合、ベトナムの調達コストはタイよりも30%以上高くなることも珍しくない。
出典: 10/12/2020 – BAO TUOI TRE
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