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【経済】2020年のベトナムへの海外送金は微減

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海外からベトナムへの送金額は、これまで長年にわたって増加傾向を続けてきたが、2020年は2019年からわずかに減少となる見込みだ。しかしそれでも海外送金額自体は、大規模なままとなっている。

世界銀行(WB)の予測と商業銀行、海外送金機関などからの情報を総合すると2020年のベトナムへの海外からの送金額は155億USDに達するとみられている。この数字は、2016年から2020年までの平均送金額とほぼ同等の数字となっている。
この額を2001年から2010年までの10年間の海外からの送金額の平均と比較した場合、3倍以上増加していることが分かる。更に海外からの送金額に関する統計がスタートした1993年と比べた場合、送金額は実に109.9倍にまで膨れ上がったことになる。

ベトナムへの海外からの送金額は、リーマンショックの2009年とCOVID-19の2020年に減少したものの、それ以外の年では常に増加し続けており、非常に大きな外貨獲得源となっている。

世界銀行の統計によると2019年のベトナムへの海外からの送金額は世界第9位で、対GDP比で見ても6.3%と高い数字を示している。(中国0.5%、インド2.8%、メキシコ3.3%)
国民一人当たりで計算した場合は、173.1USDとなる。これは送金額ランキングでベトナムより上位のいくつかの国よりも高い数字である。2020年もベトナムの海外からの送金額は、世界第9位を維持するものとみられている。

ベトナムへの海外からの送金は、越僑からの送金と海外労働者からの送金という2つのルートに大きく分けられる。越僑は、現在世界100か国に約450万人が居住しているとみられており、その殆どがアメリカ、カナダ、フランス、ドイツなどの先進国に集中している。
一方で、現在ベトナム人が経営する海外企業は約3000社あり、総資本額は40億USDを超えている。また、海外で働くベトナム人労働者数は、58万人となっており、その多くが、建設、製造(機械、縫製、電子部品など)、介護、看護、農業、漁業などの分野で働いている。
海外労働者によるベトナムへの送金額は30~40億USD程度とみられており、これは全体の送金額の約20%を占めている。これらの海外労働者の平均収入は1000USD前後(韓国1200~1400USD、日本700~800USD)だ。国別の送金額でみると1位はアメリカで、以下オーストラリア、カナダ、ドイツ、韓国、フランス、アラブ首長国連邦の順となっている。

ベトナムへの海外からの送金額が増加し続けている背景には、ベトナム政府が掲げる2つの政策の影響があるとみられている。
その一つが所得税だ。海外からの送金の受取人は、外部から所得が発生しているにもかかわらず、その他の収入とは異なり個人所得税の対象とならない。これは、世界的に見ても珍しい制度で、海外送金に対する非常に大きなインセンティブになっている。
もう一つの政策は、受け取り方法に関するものだ。外貨の受取人は、外貨のままで受け取るか、VNDに両替して受け取るかを選択することができる。VNDの定期預金金利は高くインフレ率を考慮した実質金利でみても長期に渡って安定しているため、多くの受取人がVNDに両替して、定期預金することを選択している。

COVID-19の世界的な感染拡大の影響により海外で働くベトナム人労働者の収入も減少したため、2020年のベトナムへの海外からの送金額は一時的に減少した。しかし、この減少は一時的なもので、数年以内には再び増加に転じるとみられている。

海外からの送金は、ベトナム経済に様々な影響を及ぼしている。中でも最も顕著な例が国際収支の改善と外貨準備高への貢献だ。アジア開発銀行によると、ベトナムの外貨準備高は1997年には21億USD程度であった。それが2010年には129億USDまで上昇し、2019年末には790億USDに達した。2020年9月末のベトナム政府の発表では、この数字は920億USDにまで増加しており、2020年末には更に高い数字になるとみられている。
この外貨準備高は、ベトナムの輸入額の4か月分(国際慣行によると3か月以上が基準)を超えており、国の短期債務残高を上回っているため、国家財政が適正基準をクリアしているとみなすことができる。

外貨準備高は、VNDとUSDの為替レートの安定化にも貢献しており、2012年から2020年までの為替の年間平均変動率は、1.16%となっている。

出典:24/01/2021 DAU TU ONLINE
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作