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ベトナムニュース【経済】後払い決済サービス(BNPL)が急速に市場を拡大

(C) VNEXPRESS

インフレが進む中、顧客の需要増加を見越して、最近になって多くの後払い決済サービス(BNPL)が新規に市場に参入したり、既存サービスの市場を拡大したりしている。

「日々の支払いに必要な現金はできるだけ手元に残して、後払い決済できるものは全てそうしています。」とホーチミン市10区に住むミン・ティエンさん(33歳)は話す。今年に入ってから、ティエンさんは、歯列矯正とバイクの購入を後払い決済で行った。

年齢の影響で歯列矯正をこれ以上先延ばしできないと考えたティエンさんは、3500万VNDの歯列矯正を受けることを決めたが、頭金の500万VNDさえ支払えば、あとは3年間の分割払いにすることが出来た。また、ティエンさんは同様に2500万VNDのバイクを購入したが、頭金1000万VNDを支払い、残りは6か月の分割払いとした。

ティエンさんと同様、ホーチミン市7区に住むトゥさんは、2か月ほど前に子供たちのために1000万VND以上するテレビを購入した。「以前に比べて物価が上がったので、給料はすぐになくなってしまいます。なので、一括払いで大きな買い物をするのは、非常に厳しいですが、金利0%の6回分割払いがあって助かりました。」とトゥさんは話す。

物価が上昇している中で、先延ばしはできないが支払える額で購買したいというニーズを捉えて、今年の上半期に様々なBNPLと消費者クレジットが急速に浸透した。

8月10日にKredivoとBNPLサービスを共同で展開すると発表したSendoのグエン・ホアン・ロン部長は、これは数千万人の消費者と販売業者にとって便利で手ごろな支払いサービスの選択肢の一つであると強調した。

Kredivoは、シンガポールに拠点を置くBNPLサービスプロバイダーであり、インドネシアで大きなシェアを獲得している。同社は、2021年8月にVietCreditと提携する形でベトナムに進出した。顧客がアプリを通じて登録すると、VietCreditによって最大2500万VNDまでの与信限度額がオンラインショッピングに適用される。

別の海外フィンテック企業であるSmartPayもこのチャンスを逃すまいとしている。同社も、8月12日から維持費なし、頭金なし、手数料なしを意味する”3 NO”というBNPLサービスを開始した。

このサービスでは、CIMB Vietnam銀行によって最大3000万VNDの与信限度額が提供される。SmartPayのモイン・ウッディン社長は、通常のクレジットカードサービスやデビットカードサービスへのアクセスが困難な顧客のニーズを解決するソリューションとして、BNPLサービスが近年急速に成長していると評価した。

消費者ニーズの拡大を受けて、テクノロジー企業もこのサービスマーケットに参入した。ソフトウェア開発企業のKMSが、BNPL機能を組み込んだ電子取引アプリのKaypayを最近リリースしたのだ。

Kaypayによると、このプラットフォームはAIとビッグデータを基に構築されている。新規参入であるにもかかわらずHaravan、Shopify、TrueID、Onepay、Appotapayなどと提携し、多くの世界的なファッションブランドや化粧品ブランドの商品を販売している。

BNPLプラットフォームは、今年上半期の消費者金融ビジネスがそれほど強くなかったことを背景に、この1ヶ月ほどで急速に成長し、購買需要を刺激している。
例えば、FE Crditの第2四半期のクレジットは、第1四半期に比べて2.1%減少した。しかし、VnDirectは、第3四半期以降に新たなテクノロジー製品の販売イベントがあるため、下半期には大きく回復すると分析している。

一方で、Rong Viet証券(VDSC)は、HD Bankとの提携業務であるHD Saisonの貢献によって、今後の収益が改善される見込みだ。

Kredivoのクリシュナダス副社長は、現金以外の支払いが普及し、クレジットカードの普及率が低い中で、利便性の高い支払方法への需要が高まっているため、ベトナムには多くのチャンスが残されていると指摘する。

Kredivoは、既に、FPT Shop、CellphoneSと提携しており、将来的には全ての大手Eコマースプラットフォームに組み込まれ、100社以上の企業と提携することを目指している。

Kaypayの調査によると、ベトナムのBNPL市場は、インドネシア(90億USD)やシンガポール(30億USD)と比べて数年遅れているものの、およそ46億USDの潜在市場が残されている。

「ベトナムには、他国より遅れている面もありますが、トレンドが進めばすぐに追いつくでしょう。今後3年以内には、BNPLがベトナムで最も一般的な支払方法になるでしょう。」とある企業の担当者は、話す。

しかし、BNPL市場にはまだ、課題も残されている。最も問題なのは不良債権だ。2022年上半期にFE Creditの不良債権は、前年から113%増加し、第2四半期末には約15.1%となった。HD Saisonも今年の第1四半期と第2四半期に不良債権比率が上昇した。

SNS上では、負債から逃げる方法や、不払いをサポートするサービスなどの情報を提供するグループが一定数のメンバーを集めているのも事実だ。しかし、Viet Creditのホー・ミン・タム社長は、これらはあくまでごく一部の現象だと述べた。全体的なマーケットは依然として好調であり、Viet Creditをはじめとした各企業は、本人確認(KYC)におけるスクリーニング技術のノウハウを持っていると主張する。

ただ、先述のトゥさんのようにBNPLサービスの利用に満足し、期限通りに返済をした一部の顧客は、この業界のやり方に不満を抱いている。

「私は、常に期限通りに支払いをおこなっているので、オペレーターに支払い催促の連絡はしないように伝えました。先方は、一旦了承しましたが、結局毎月支払いの連絡をしてきます。また、1回利用しただけなのに、頻繁に電話してきて、サービスの利用を訴えてきますが、はっきり言って迷惑です。」とトゥさんは話す。

出典:14/08/2022 VNEXPRESS
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作