喫煙率は低下も、受動喫煙が新たな課題
ホーチミン市保健局は、2023年以降のたばこ規制法(たばこ被害防止法)の実施状況について、ホーチミン市人民委員会および保健省に報告書を提出した。
報告書によると、喫煙率そのものは減少傾向にある一方で、受動喫煙の増加や新型たばこ(電子たばこなど)の拡大が大きな課題となっている。
全体の喫煙率は減少傾向
2024年に実施された15歳以上を対象とした喫煙実態調査によると、旧ホーチミン市エリアの喫煙率は19%で、2020年比で1.3ポイント低下した。
旧バリア=ブンタウ省エリアでは19.3%となり、2022年比で0.7ポイント減少した。
一方、旧ビンズン省エリアは2022年に1回のみ調査が行われ、喫煙率は18.4%、うち男性が35.8%を占めた。
男性の喫煙率は依然高水準
性別で見ると、男性の喫煙率は依然として高い。
旧ホーチミン市では36.1%(2020年比5.4ポイント減)、旧バリア・ブンタウ省では37.8%(2022年比1.1ポイント減)となっている。
女性では、旧ホーチミン市で2%と0.8ポイント増加した一方、旧バリア・ブンタウ省では0.8%で0.5ポイント減少した。
これらの結果は、たばこ対策が一定の効果を上げているものの、継続的な強化が必要であることを示している。
職場や飲食店での受動喫煙が顕著
特に深刻なのが、公共空間での受動喫煙である。
医療施設における受動喫煙は旧ホーチミン市と旧バリア・ブンタウ省で減少したものの、他の公共の場では逆に増加が確認された。
旧ホーチミン市では、職場や官公庁での受動喫煙率が32.9%と、2020年比で9.9ポイント上昇し、カフェでは68.1%に達した。
旧バリア・ブンタウ省では、学校で19.9%(5.3ポイント増)、公共交通機関で10.6ポイント増加したほか、飲食店・レストランでは78.4%と極めて高く、2022年比で6.7ポイント増加した。
電子たばこへの認識不足も問題
従来型たばこに加え、電子たばこなど新型たばこも新たな懸念材料となっている。
旧ホーチミン市では電子たばこの使用率が2020年比で3.2ポイント減少したが、調査対象者の47.1%が「従来型たばこより害が少ない」と回答し、認識不足が浮き彫りとなった。
一方、旧バリア・ブンタウ省では電子たばこ使用率が2022年の0.6%から2024年には1.7%へと、2年間で約3倍に増加した。
旧ビンズン省では2022年時点で、15歳以上の1.8%が使用経験があり、0.9%が現在使用している。
法執行の課題と対策
報告書は、たばこ被害防止法の運用における課題も指摘している。
禁煙治療薬が健康保険の対象外であることから、医療機関での禁煙支援が進みにくいほか、担当人員が兼務で、資源が分散しているという。
広報活動は実施されているものの、学生や長期喫煙者といった高リスク層に十分届いていない点も課題とされた。
また、取締りは主に偽造たばこ販売に集中し、禁煙場所での喫煙、禁煙標識未設置などの違反は、人員不足や権限、連携体制の問題から十分に処罰されていないという。
税引き上げや電子たばこ管理強化を提言
こうした状況を踏まえ、ホーチミン市保健局は、各レベルの自治体による指導強化、たばこ被害防止に向けた広報への投資拡大を提言した。
具体的には、部局横断の監査団設置、処罰手続きの簡素化、違反行為の厳格な取り締まりを求めている。
あわせて、学校教育での啓発、電子たばこの厳格管理、たばこ税および価格の引き上げ、供給削減を通じ、持続可能な「禁煙環境」構築を目指すとしている。
本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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