このコラムの読者の方の多くは、次代のリーダーやマネジャーを誰にするか、アサイン後であれば期待通りに部門を牽引してくれているか、などに多くの時間と労力を割かれているかと思います。今回は知性と倫理性に焦点を絞って考察いたします。
大手不動産会社のトップを始めとした組織ぐるみの不祥事がありました。一代で巨財を築いたビジネスの才覚((知性)は多くの人が認めても、大きく欠落していたのは倫理性です。この事件は大小の差こそあれベトナムにおける組織マネジメントの課題を示唆しています。
周囲の誰もが認める実力を持ち、問題解決能力や実行力に優れた人を要職に任命するのは一般的ではある一方、大きく倫理性が欠如した人を抜擢した場合には高い確率でチームが崩壊に向かっていきます。高い知性を利用して個人的な利益誘導を行ったり、巧妙に不正を隠蔽するなど、組織内のモラルハザードが横行していきます。
もちろん、知性と倫理性を兼ね備えたスタッフの抜擢が望ましいのですが、必ずしもそういった方々が豊富なわけではありません。状況によっては、「優秀とは言えないけど倫理性においては信頼できるんだよなぁ」という人を任命した方がうまくいくことも少なくありません。
両方のバランスを把握しながら組織のステージや課題に応じて、適したスタッフをアサインするなどの工夫。何よりも「丸投げ」にせず、定期的に知性と倫理性の2軸を意識しながら健全性をチェックしていく。こうしたことが重要となります。