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ベトナム人材獲得最前線 Vol.09
転職動機とライフステージ論
社員の離職を防ぐ考え方にも

 ベトナムではテト直後に転職する人が増え、その動機は少しでも高い給与を求めるからだと言われています。本当なのでしょうか?

 弊社で複数の調査を実施し、他社の調査を参考にしても、給与が転職理由の1位となったのを見たことがありません。立場を変えて、求職者の目線で転職動機を探ってみたいと思います。この時、Donald E Superというアメリカの心理学者が提唱した「ライフステージ論」が参考になります。

 これによると1人の人間の生涯は5段階に分かれ、①成長期(~14歳頃まで)、②探索期(14~25歳頃まで)、③確立期(25~45歳頃まで)、④維持期(45~65歳頃まで)、⑤下降期または解放期(65歳~)となっています。

 その人の年齢によってステージが変わり、求めるキャリアのニーズが変化することを語っています。皆さんが日頃接するベトナム人は、②探索機と③確立期に位置することがほとんどだと思います。

 Superがライフステージ論を提唱したのが20世紀半ば、今から70年ほど前です。現在では働き始める年齢が数年遅くなっていますので、3~5歳ほど遅らせると丁度良いかもしれません。ベトナム人なら色々な経験を積みたい、ほかの会社も見たい、日本で働いてみたいなど経験優先で転職を希望するのは30歳頃まで、社内での昇進や昇給を目指しながら仕事を習熟させていくステージが30歳以降ではないでしょうか。

 一括りに「高い給与を求めて動く」と早合点せず、このライフステージ論を下地にして優秀な人材を説得すれば、互いに不幸な離職を防げるかもしれません。

関 岳彦 Takehiko Seki
G.A.Consultants Vietnam代表。2005年より人材紹介事業の立ち上げでベトナムに駐在。その後日本人のベトナム就職のためのブランドR-Vietnamを展開。他の海外事務所設立にも携わり、サービスオフィス運営や進出関連事業も兼任。