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ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想第64回
JETROホーチミン事務所

ベトナム南部への日本企業の進出、進出後の支援などを担うJETRO(日本貿易振興機構)ホーチミン事務所。その活動内容、当地の日系企業への思い、今後に期待できる事業などについて、松本暢之所長に取材した。

複合的な支援の方法

―― JETROホーチミンの活動を教えてください。

松本 ホーチミン市をはじめベトナム南部への日本企業の進出支援と、進出した日系企業のサポートが大きな柱になります。ベトナムは日本企業にとって最も関心の高い国の一つですから、とてもやりがいを感じています。

 JETROの日本企業への調査で、2020年までは中国が一番魅力的な投資先でした。しかし、新型コロナでの行動規制、サプライチェーンの寸断、米中貿易摩擦などで中国一辺倒ではリスクが高いと考えたのでしょう、2021年と2022年の調査でベトナムは1位のアメリカに次いで2位となりました。

 現在はインフレ、円安、世界不況などの影響でベトナムへの投資額は減っているものの、進出の相談数は増えています。複雑な状況ですから様子を見つつ、情報収集に務める企業が多いのだと思います。

 また、不透明な行政手続きなど、見えていなかったリスクが進出後に顕在化することもあります。こうした場合には市や省の関係者を紹介するなど、業務運営全般のご相談にも乗っています。JCCHのラウンドテーブルの議題に提出することもあり、解決の方法は複数あるということです。

―― ほかにはどのような活動がありますか?

松本 ベトナム南部の経済、貿易、投資などに関する調査もしています。可能な限り日系企業の要望に沿った内容にしたいと考えています。

 例えば、ベトナムの景気は底を打ったとも言われていますが、事業で苦労している日系企業は少なくありません。日本本社から「景気が戻りつつあるのに売上が低い」などと言われることもあるでしょう。単純な統計データから見えない現場の声を伝えることも大切な活動と考えます。

 実際、今年第3四半期のGDP成長率は前年同期比5.3%ですが、牽引しているのはサービス業(6.2%)で、その中心はホテル、飲食、文化、レジャーといった日系企業があまり関わらない分野です。これでは景気回復を実感できないのも頷けます。

 また、ベトナム企業とのビジネスマッチングにも注力しています。特に製造業は部品や材料などの現地調達率が低く、優秀なベトナム企業と出会うことが難しい。そこで優良企業のサプライヤーリストを作り、改訂を続けています。

 ベトナム商工会議所(VCCI)やホーチミン市貿易投資促進センター(ITPC)などと協力して、部品調達展示商談会も定期的に開催しています。日越の製造業が直に出会う場であり、大型展示会と併催することもあります。

 以前は加工輸出型が多かったのですが、近年では国内市場が成長し、ベトナム企業と組んで国内向けに商流を作りたいとする日系企業が増えています。製造業だけでなくサービス業も同様です。

水産物加工のチャンスにも

―― ベトナム企業をどう見ていますか?

松本 労働生産性はまだ低く、総じて製品の品質は高くありませんが、「トレーニングをすると吸収力が高い」という声をよく聞きます。実際に優秀な人材は多く、トップクラスのエンジニアもいます。伸びしろは十分にあるということです。

 ハイレベル人材の創出という点では、日系企業とベトナムの大学など教育機関との連携を支援しています。日系企業は即戦力として経験者を求めてきましたが、近年では新卒の学生採用も増えています。企業に実践的な大学を紹介したり、使わなくなった機械や設備を大学に寄付していただき、学生を育てるなどの事例も出ています。日本・日系企業と当地の学生や社会人をつなげる、ジョブフェアも開催しています。

 人材の面でもベトナムと良いパートナーになれると感じますが、一方で日本のプレゼンスが徐々に落ちていることが心配です。

 他国の努力や魅力も原因でしょうが、スマホ、テレビ、パソコン、家電など、ベトナムの消費者が接する日本製品が減ってきたことも理由だと思います。見えないところで使われている日本の技術やサービスがあると、もっと発信をしたいです。

―― 今後成長が見込まれる事業は何だと思いますか?

松本 国内市場の拡大に注目すれば、高品質で安全・安心な日本製品はニーズが高まると思います。全くのブルーオーシャンではないにせよ可能性があるのは食品関係で、JETROは日本からの輸出を増加させる活動もしています。

 最近の都市部では高価な和食店が増えていますが、そこで食事をするベトナム人は珍しくありません。彼らは味覚、食材、安全性などの価値に納得しているから代金を支払います。輸出も同じで、ハードルは高くても、まずは知ってもらわないと手に取ってくれません。

 私たちも展示会や商談会を開催しており、消費者に食してもらうのはもちろん、バイヤーに和食などについて教えたり、日本に招待して興味を持ってもらうなどをしています。

 製造業では携帯電話などの部品以外に、アパレル、繊維、木材加工、皮革など労働集約型の加工や組立てが中心でした。これらは輸出産業でもあって現在は受注が低迷していますが、ベトナムの地理的な位置や政府の全方位外交から、アジアを統括する司令塔にもなれると思います。

 ベトナムだけでなくほかの国で生産して、それを管理する拠点をベトナムに置くということです。付加価値の高い製品を作るようになれば裾野産業も広がり、突出するベトナム企業も出てくると思います。

―― ほかに有力な業界はありますか?

松本 日本の水産物の最大の輸出先だった中国が、輸入を全面的に停止したままです(取材当時)。水産会社は販路を模索していますが、ベトナムに輸出するチャンスにできないでしょうか。

 中国へは食用以外に加工用としても輸出しており、中国で水産加工した商品を米国など他国に輸出していました。その代わりにベトナムに輸出して、ベトナム企業に生産を委託して、加工品を輸出する。次のステップとして日系企業が進出しても良いと思います。

 チャイナリスクからベトナムを魅力的な投資先と考える日本企業が急増したと、最初に話しました。水産加工事業の立上げに時間はかかっても、現在だけでなく将来のリスクも回避できます。中国市場向けは中国工場で、それ以外の輸出はベトナム工場とすみ分けもできます。

 私はジャカルタ時代に楽しく仕事ができて、再び機会があるなら東南アジアが良いと希望を出していました。ですからベトナムに決まったことがうれしく、様々な可能性を考えてしまうのかもしれません。

 現在はちょっと落ち込んでいますが、ベトナムの明るい未来とそのポテンシャルは誰もが認めており、日本の関心が薄くなることは今後もないと思います。

松本暢之 Nobuyuki Matsumoto
通商産業省(現・経済産業省)入省。2007~2010年に在ブルガリア日本国大使館、2015~2018年にJETROジャカルタ事務所に赴任。その後、経済産業省の商務情報政策局国際室長としてIT政策の国際協力などに携わり、2022年7月より現職。