ベトナムビジネスならLAI VIENにお任せください!入国許可、労働許可証、法人設立、現地調査、工業団地紹介などあらゆる業務に対応します!お気軽にご相談ください!

ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想第59回
JAPAN AIRLINES

1994年の初就航以来、現在、日越間で毎日3便を運航する日本航空。新型コロナ禍の厳しい状況が続いていたが、ようやく需要が戻りつつある。日本各地への誘客や他業種との連携について、ベトナム営業所長、宮城孝浩氏が語る。

日本の地方と自社をアピール

―― ベトナム進出について教えてください。

宮城 1994年に現地法人を設立し、同年よりホーチミン市から成田空港へのホーチミン=成田線を就航。2002年にはハノイ=成田線、2014年にはホーチミン線の2便目となるホーチミン=羽田線を就航し、現在はベトナムと日本の間で毎日この3便を運航しています。

 ハノイ線は昨年7月に就航20周年を迎え、ホーチミン線は来年就航30周年を迎えます。多くのお客様に支えていただき、感謝しています。

 営業所長として私が主に担当しているのがベトナムから日本への需要ですが、新型コロナウイルス感染拡大の時期は非常に厳しかったです。

 新型コロナ前はベトナムから日本を訪れる方は右肩上がりで増加しており、2019年には過去最高の約50万人を記録しました。その後2020~2022年にかけては新型コロナの甚大な影響を受け、需要がほぼ消えた状態でした。

 特に2021年は3万人弱まで急激に落ち込み、この時期のお客様は技能実習生や日本経由で北米などに行かれる乗り継ぎのお客様が中心でした。

―― 日本行きの乗客は戻ってきていますか?

宮城 ホーチミン=成田線は新型コロナ前の状況まで戻りつつありますが、ハノイ=成田線とホーチミン=羽田線が今一歩という感じです。それでも今年に入ってから毎月約5万人まで訪日需要が戻り、我々もベトナム人観光客を中心に日本行きを伸ばしたいと動いています。

 そのため、今後は旅行会社との連携をさらに強化しながら訪日観光をアピールしたいです。東京や大阪などのいわゆる「ゴールデンルート」以外への誘客が課題と認識していまして、地方の魅力と自社の国内線ネットワークをつなげたいと思っています。

 現在のスタッフはおよそハノイで20人、ホーチミン市で40人。営業所のスタッフはハノイ3人、ホーチミン市5人です。営業所のスタッフは全員ベトナム人で、訪日観光需要の創出と地方誘客に注力しています。

 また、今年は日越友好関係樹立50周年を迎えて、多くのイベントが開催されます。弊社は2月の「Japan Vietnam Festival」への出展、3月の「志の輔らくご」への協賛などを実施、今後も各種イベントなどへの参加やサポートを続けたいと思っています。

 実は私も50歳の誕生日を今年当地で迎えており、ベトナムとのご縁を感じています(笑)。

―― ほかに計画やアイデアはありますか?

宮城 異業種との協業を通じた新たなお客様の開拓を始めます。具体的な取組みとして、今年6月からJCBカード様と提携し、カード会員向けの期間限定プロモーションなどを提供する予定です。

 ベトナム支店としては初めての試みで、JALへの興味や関心を持っていただき、JALファンを増やしたいと思っています。

魅力的なベトナム航空市場

―― 日本航空としてベトナム市場をどう見ているのでしょうか?

宮城 成長市場として注目しています。2012年から2022年までの10年間でホーチミン市の富裕層は82%と大幅な増加率を記録し、世帯所得5000~3万4999USDの中間所得層の割合は2000年の12%から2020年には52%まで上昇しました。著しい経済成長を果たしてきた国と認識しています。

 また、人口は1億人を超え、平均年齢は33歳、日越の二国間関係は極めて良好。ベトナムは規模と成長性の両面から、非常に魅力的な市場ととらえています。

 ただ、訪日客が増えても日本をまだ知らない、あるいは日本へ行ったことがないベトナムの中間層や富裕層は少なくありません。四季折々の自然や各地方独自の文化の魅力をもっと届けたいですね。

―― ベトナムでは航空会社の競争が激化しています。

宮城 はい。新規参入の航空会社、国内外に路線を拡大する航空会社もあり、日本への便も増えています。こうした動きでお客様の利便性が向上し、需要が高まり、ベトナムが注目されるのは良いことでしょう。ただ、航空会社は需要に見合った供給を意識することが大切だと思います。

 路線を増やすだけでなくそれを維持することが大切で、客足が伸びないから運航を中止するなどは簡単にできないわけです。

 ビジネス利用などの業務渡航で重視されるのは、安全性は大前提として、運航スケジュール、定時性、機内での快適性などだと思います。一方の観光では価値に応じた価格と定時性だろうと考えます。

 例えばLCCでは機材の稼働率を上げることが命題であり、お客様の少ない便は運航を止めて前後の便に振り分けるなどがあり、定時性が低くなります。弊社のようなフルサービスキャリアは価格だけでなく、それに見合った価値を訴求していく必要があります。

 航空会社同士ではなく、韓国や台湾、東南アジア諸国もベトナムからの観光地として日本の競合になります。やはり日本とJALのアピールは欠かせません。

―― ベトナムへの貢献などはされていますか?

宮城 日本航空は2025年度までの中期経営計画の経営戦略の一つに、ESG(環境・社会・ガバナンス)戦略を掲げています。

 その一環としてベトナム支店では昨年12月に、ベトナム北西部のSon La山岳省の小学校にチャリティトリップを実施しました。ベトナム人スタッフが学校内に洗面所の設置と物資の支援をして、生徒たちへの折り紙ヒコーキ教室を開催しました。

 また、ハノイ貿易大学日本語学部において、「日本型経営」講座で講演しました。弊社副社長の清水がJALの事業戦略、企業文化、CSR活動、ベトナム市場のポテンシャルなどを語りました。

 日本人学校でのお仕事教室やマナー講座も実施しました。こちらは客室乗務員がリモートでマナーレッスンを教えました。

 先ほども伝えましたが、ホーチミン線はおかげさまで来年11月に30周年を迎えます。来年のプロモーションやキャンペーン、イベントなどを検討しており、お客様へ感謝の気持ちを伝えたいです。

 ESG活動などの社会貢献活動において大切なことは、単発で終わらない継続性であると考えています。これからも地域課題の解決のために、様々な形で社会貢献活動を続けていく予定です。

JAPAN AIRLINES
宮城孝浩 Takahiro Miyagi
大学卒業後に日本航空に入社。国際旅客法人販売部門を経て、2008年から国際線チャーター便の運航・販売計画を担当。2015~2018年にドイツに駐在。帰国後のWeb販売部を経て2022年7月より現職。