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ベトナムビジネス情報Vol.159
ベトナム富豪社長6人の言葉
世界長者番付2023年版

米国の経済誌Forbesによる「世界長者番付2023年版」にベトナムから6人が入った(日本は39人)。全員が大手企業のトップであり、その言動が耳目を集める存在だ。彼らの言葉からベトナムの現状が見えてきた。

金を稼ぐだけなら、EVという困難な事業に参入しない

 ベトナム最大のコングロマリット、Vingroup。不動産開発のVinHomesを中心に商業施設のVinCom、リゾートホテルのVinPearl、自動車メーカーのVinFast、病院のVinMec、教育事業のVinschoolなど多彩な著名企業を傘下に持つ。創業者であり会長がファム・ニャット・ブオン氏だ。ベトナム人で初めて世界長者番付にランクインした人物でもある。
 1968年にハノイで生まれ、ロシアの国立地質調査大学に留学。卒業後は1993年にウクライナで起業して即席めんメーカーTechnocomを設立すると商品「Mivina」が大ヒットとなりトップシェアを得る。
 この事業の傍ら2000年にVinPearl、2002年にVinComをベトナムに設立。観光と不動産開発から始めて2012年に病院、2013年に学校、2014年に小売(2020年に売却)、2015年に農業に参入し、ウクライナの事業は2010年にNesleに約1億5000万USDで売却する。
 そして2017年、ベトナム初の独自国産自動車メーカーVinFastを立ち上げた。2019年に工場を稼働させてガソリン車を発売するが、2022年には撤退してEV専業メーカーとなる。次の言葉は今年5月のVingroupの株主総会で、株主からEVに切り替えた理由を聞かれた彼の返答だ。
「金もうけのためだけにこんなに困難な分野に飛び込むほど愚かではない。Vingroupは愛国心からVinFastを始めた。成功すれば国際市場でハイテクで上品で影響力のあるブランドを構築できる。我々には国に貢献する責任がある」
 当初ガソリン車を生産したのは、自動車の生産能力を市場に周知させるためだったとも語った。VinFast は2022年にベトナムで約2万4000台の車を販売し、後に全車がリコールとなるものの999台を初めて米国に輸出した。

ベトジェットはほかの航空会社のお客様を奪いません

 ベトナム初の民間LCC、Vietjet Air。2011年に運航を始め、翌年には機内の水着ショーで話題を呼ぶ。その後も運賃0VNDなど大型キャンペーンを連発し、国内外の路線を継続的に拡大。国内線ではベトナムトップシェアとなった。
 この世界で初めて民間航空会社を創業した女性がグエン・ティ・フォン・タオ氏だ。ベトナム人女性で初めて世界長者番付に入った。
 1970年にハノイで生まれ、ロシアに留学して複数の大学で金融や経済学ぶ。この時期に日本、韓国、香港などからの衣料品、ゴム、ファクス機など幅広い商品を輸入販売する事業を始めて、3年間で100万USDを稼いだとされる。
 2004年にベトナムに帰国後、ベトナム初の⺠間銀⾏であるTechcombankとVietnam International Bankに出資して両銀行をサポート。不動産投資事業もスタートさせて資金を調達し、市場調査を続けながら様々な難関を乗り越えて、2007年に念願のVietjet Airを設立した。
 今年4月に彼女はVietjet Airの社長から会長となり、同月の株主総会でこう語った。
「Vietjet Airはほかの航空会社のお客様を奪いません」
 同社の事業戦略は新しい市場の開拓であって、競合相手と顧客を奪い合うことではないという意味だ。「インド、オーストラリア、カザフスタンへの新路線開設にも先駆的に取り組んできた」とも語っており、300機以上の航空機を発注しているという。
 Vietjet Airの親会社であるSovico HoldingsはHDBankなど金融、Phu Long Real Estatesなど不動産、水力発電所などエネルギーといった数多くの企業を持つコングロマリットで、グエン・ティ・フォン・タオ氏が創業し、会長を務めている。

多くの人から保守的と批判されたが、我々の正しさが認められた

 ベトナム最大の鉄鋼メーカー、Hoa Phat Group。2021年前半に粗鋼生産量で東南アジア首位となり、同年は過去最高の売上高と純利益を達成した。
 しかし、2022年後半からベトナム不動産市場の低迷、世界不況、原材料価格の高止まりなどから業績は大きく落ち込み、2022年11月には4つの高炉の稼働停止を発表。2023年もベトナム鉄鋼業界の苦境は続いているが、同グループの創業者であり「鉄鋼王」と呼ばれる会長がチャン・ディン・ロン氏だ。
 1961年にハノイで生まれ、国民経済大学を卒業。1992年に建設機械会社と設備商社を創業し、1995年に家具事業、1996年に鋼管事業を始めて2001年から粗鋼生産を開始。2000年に建設用鋼事業、2001年に冷凍事業と不動産と多角化を進め、2007年に持株会社のHoa Phat Groupを設立。売上高の約8割を鉄鋼関連事業が占めている。
 創業以来の業績悪化の中で舵取りをする彼が、今年3月の株主総会で今後の戦略を発表した後にこう語った。
「市場の多くの人がHoa Phatは保守的だと批判してきたが、今では私たちが正しいことを認めざるを得なくなった」
 従来から同社の経営は保守的と呼ばれ、2020~2021年には利益が大幅に上がったが昨年は株主配当をせず、資産を保有しすぎていると問題視された。
 この内部留保をクアンガイ省のDung Quat第2製鉄所への設備投資に集中させると発表。投資総額は約30億USDで、ほかの事業の拡大は短期的に難しいと、不動産など新たな投資計画は停止する。
 製鉄所のプロジェクトは2025年初頭に稼働し、約80兆~100兆VNDの収益になると予想している。

裾野産業育成の難しさは政策でなく、企業の熱意にある

 ベトナム自動車業界のパイオニア、Truong Hai Auto Corporation(THACO)。起亜(韓)、マツダ(日)、プジョー(仏)などとの合弁や代理店として乗用車と商用車を生産・販売し、企業別の新車販売台数で2022年はシェア1位(約36%)。その創業者であり会長がチャン・バ・ドゥオン氏だ。
 1960年にフエで生まれ、ホーチミン市工科大学を卒業。自動車修理工から始めて1997年にTTHACOを設立。2000年にKIA(起亜)ブランドの小型トラックの組立てを始め、100%国内資本で自動車を製造・組立てする初の民間企業となった。その後は提携企業とブランドを増やして輸出も始め、不動産業や小売業など他業界にも進出している。
 2022年12月、中部地方での産業開発連携促進セミナーで彼はこう述べている。
「裾野産業育成の難しさは、政策ではなく企業の熱意にある。労働者が作った製品をどう販売するかが我々の責任であり使命である」
 また彼は、「産業は木のようなもので、高く強くしたいなら強い根、つまり裾野産業が必要だ」とその育成の必要性を強調した。

信頼が戻れば需要も戻る。不動産のニーズは依然大きい

 ベトナム大手銀行の1行であるTechcombank。NAPASカード支払取引や高速銀行間送金など先進的なサービスを提供し、2021年には民間銀行として初めて最優秀商業銀行賞を受賞した。この会長がホー・フン・アン氏だ。
 1970年にハノイで生まれ、ウクライナとロシアの大学で電気工学や人材管理を学ぶ。1994年にロシアでMasanGroupの前身となるSANMEXをグエン・ダン・クアン氏と共に設立し、即席めんの事業を始める。
 同社をベトナムを代表する食品メーカーに成長させる一方、2005年にベトナムに帰国してTechcombankの取締役、2008年に会長となる。銀行業に集中するため2018年にはMasanGroupを辞した。
 今年4月の株主総会で現在の不動産不況についてこう語った。
「主な理由は投資家の信頼だ。信頼が戻れば需要も戻る。ベトナム国民の投資ニーズは依然として非常に大きい」
 同銀行は不動産分野で多額の融資をしており、それを理由にムーディーズが格付けを引き下げたばかりだった。彼は同銀行の不動産融資は住宅購入用の個人向けで、問題ないとしている。

我々のビジネスで常に道は一つ、消費者に向かう道だ

 成長著しい大手食品加工メーカー、MasanGroup。食肉、鉱業、電気通信と事業を広げ、2020年にはVingroupからVinCommerceを買収して国内最大級のスーパー・コンビニチェーンをグループ化した。創業者であり会長がグエン・ダン・クアン氏だ。
 1963年にクアンチ省で生まれ、ベラルーシの大学で核物理学を、ロシアの大学で経営学を学ぶ。1994年にロシアで上記のSANMEXを設立して即席めんの生産・販売を開始。2001年からはベトナムで販売を始め、ヒット商品となるチリソースやヌクマムを生産。2009年に持株会社としてMasan Groupを設立した。
 彼は今年4月の株主総会でこう語った。
「我々のビジネスにおいて常に道は一つしかない。それは消費者に向かう道だ」
 株主総会のテーマは「モノの消費者~1万のニーズをつなぐ~」で、食品、飲料、日用消費財、小売、モバイル通信などを傘下に持つからこそ可能となる。今後は技術とデータ分析を活用して、個人にマッチしたショッピング体験ができる、オフラインからオンラインまでの統合プラットフォームを作るという。