オンライン広告マーケットの成長に伴い、社会に対して悪影響を与えるような広告も増えており、倫理に反するような広告はすぐに停止させる必要がある。
最近、Youtubeなどのインターネットサービスを利用する人たちは、毎回しつこく流される『先祖代々伝わる秘伝の治療法で・・』、『万病に効く秘伝の薬で・・・』といった内容の人々の健康を害する可能性がある商品の広告にうんざりしている。
広告コンテンツの検閲機能の欠陥により、YoutubeやFacebookには、公衆の健康を害するような欺瞞的な広告があふれている。特に懸念されているのがGoogleが地方マーケットをターゲットにしはじめていることだ。元来ベトナムの田舎では口コミ情報が重視される傾向があったが、最近では、田舎の人でも『ネットによると・・・』と言い出すようになっている。
ベトナム広告業界のあるクリエイティブディレクターは、あらゆる種類の広告は、本質的には芸術の一種であると主張する。そして映画や文学と同じように広告もまた、私達の生活の中に自分自身を反映させるものなのだ。
広告の本質とは、広告される商品自体にあるのではなく、その広告から発せられるメッセージを通じて、商品を購入することでより良い人生を送りたいと人に考えさせ、商品を選択させる行為にあるのだ。だからこそ、広告というのは何でも言いたいことを言っていいことにはならない。
広告は、市民社会の権利を尊重し、法令や道徳の枠組みの中で作成されなければならない。しかし、最近Youtubeなどで流されている欺瞞的な広告は、これらの原則をすべて無視している。
これまで、新聞やテレビなどに広告を出すためには、商品に関して法令から品質まで様々な規定を満たす手続きを行わなければならなかった。もちろん、誰も企業を困らせたいわけでないが、この様な手続きは、企業が自社の製品やサービスをより現実に近い形で表現し、消費者が詐欺などの被害にあわないようにするために必要なフィルターであった。
ところが、Youtubなどにおける欺瞞的な広告では、重度の癌で苦しむ患者を本当に治療できるかどうかについて、品質や法的責任を全く無視している。オンライン広告は、根拠の無い広告の無法地帯と化しており、悪質な広告が子供を含めたあらゆる人の目に触れるようになっている。これは非常に大きな社会問題だ。
多くの家庭では、子供が見ているアニメの途中で突然、精力剤の広告が出てくることに困惑している。また、大人たちも万能薬、美肌、長寿といった内容のくだらない広告に毎回悩まされている。こういったジャンクな広告は、人々の健康と精神に悪影響を与えるだけでなく、社会道徳にも大きな影響を与える。
オンライン広告企業は、自社の広告掲載には医薬品やヘルスケア商品に関してガイドラインがあると主張する。しかし実際に起きていることを見れば、それらの企業が有害な情報をまき散らすジャンクな広告を規制する責任を果たせていないのは明らかだ。彼らのガイドラインは、一体何の役に立っているのだろうか?
社会に悪影響を与え犯罪などを誘発する前に、オンライン広告の管理と実体のギャップを迅速に埋める必要がある。特にこれらの広告ビジネスで収益を上げている企業は、この作業に責任を持つ必要がある。
インターネット環境に健全性をもたらすためには、全ての悪質な広告を排除し、オンライン上からゴミを一掃するように厳格な処置を講じなければならない。オンライン広告の公的管理機関は、健全な競争と利益の調和を保障することを目的として、オンライン広告を正しい方向に導くよう迅速に対処する必要がある。
ベトナムのオンライン広告マーケットの規模は、2019年に2億8400万USDとなったが、2022年には4億USD近くまで成長するとみられている。マーケット規模が大きくなればなるほど、金だけが目的の悪質な広告が社会に悪影響を及ぼすようになる。この様な悪資質な広告は、社会のためにも早急に根絶させる必要がある。
出典:05/04/2021 TUOI TRE
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