HSBCによれば、輸出と国内消費の回復が2024年のベトナムの経済成長率を6.3%に引き上げる原動力となる可能性がある。
これは、10月9日に開かれたビジネス展望に関する会議において、HSBCアジア経済調査部門のチーフエコノミストであるフレデリック・ニューマン氏が述べたものだ。HSBCでは、ベトナムの経済成長率を2023年が5%、2024年が6.3%と予測しており、これは、国際機関の予測の中で最も高い数値である。
統計総局のデータによれば、ベトナムの9月の輸出額は314億USDとなり、前月から約4%減少した。2023年1月から9月まででみれば、輸出額は2600億USDで、前年同期から8%以上減少している。
しかし、フレデリック・ニューマン氏は、2024年には需要が回復することで輸出が増加し、ベトナムの力強い経済成長を後押しすると分析している。ニューマン氏によれば、今年の製造業の低迷理由の一つは、コロナ禍での買いだめ(実需用よりも多く購入する)にある。その後、商品需要が減少し、消費者は旅行やレストランでの消費を好むようになった。
しかし、世界的な経済成長構造が変化することで、来年にはこの状況が好転する可能性がある。それによって、サービスの消費が低下する一方で、製造が回復するとみられている。「過去1~1.5年ものあいだ商品購入が落ち込んだことで、来年は商品購入が回復するでしょう」とニューマン氏は話す。これは、ベトナムの主要輸出先市場の需要が回復し、ベトナムの輸出が回復することを意味している。
来年のベトナム経済の成長における2つ目の原動力は、国内消費の増加だ。統計総局のデータによれば、2023年1月から9月までの商品小売総額と消費者サービス売上は、9.7%増加したが、前年同期と比べると半分程度に留まっている。
HSBCベトナムのティム・エバンス社長は、過去数四半期にわたって消費者は慎重だったが、GDP成長率が6~7%の勢いを取り戻せば、すぐに旺盛な消費が復活するとみている。
ビナキャピタルファンドのCEOであるブルック・テイラー氏は、輸出と国内消費の回復に加えて、金融、サービス、不動産などの分野も困難な時期を乗り越えて回復に向かうと予測している。インフラ整備についても専門家は来年以降に加速すると予測している。
一方で、ニューマン氏はベトナムが2024年に経済成長率6.3%を達成するためには、ベトナム国家銀行が金利をさらに50ベーシックポイント引き下げる必要があるとみている。
ニューマン氏は、2024年の見通しは明るいが輸出には依然としてリスクがあると指摘する。ベトナムは経済開放性が高いため、輸出への依存度が高い。アメリカ、EU、中国など主要輸出先市場の回復が現時点の予測よりも遅れた場合、ベトナムからの輸出が伸びない可能性もある。つまり、世界的な需要現象が起きれば、ベトナムの経済成長の柱である輸出が影響を受ける可能性があるとニューマン氏は指摘する。
環境資源管理コンサルティングサービスを提供しているERMベトナムのミーガン・ローソン社長は、世界的な資本の流れが持続可能性要素への関心を高めている中で、企業は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)というESG評価基準により注意を払う必要があると指摘する。
一方でKPMGベトナムのウォリック・クライン氏は、企業に対してキャッシュフロー、キャピタル、カスタマーの3Cに焦点を当てた戦略を提案している。その中で、企業は集客のためにパーソナライゼーションに注意する必要がある。
今回の会議でHSBCの専門家は、残りの3ヶ月で突破口を開くのは難しいとして2023年の経済成長率を5%と予測した。ブルック・テイラー氏は、このまま安定して大きな変化が無ければ第4四半期の経済成長率は約6%となり大幅な前進とは言えないものの、他国と比べれば良好な結果となるとの見通しを示した。HSBCによれば、この経済成長率が達成できれば2023年の経済成長率は5%に達する見込みだ。
出典:09/10/2023 VNEXPRESS
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