ヴ―・タイン・トゥ・アイン博士によれば、ホーチミン市の地位は、東南アジア諸国の一部の大都市や国内の他の都市に”浸食”されてきており、多くの課題に直面し弱体化している。
これは、フルブライト公共政策管理学院のヴ―・タイン・トゥ・アイン博士が8月24日に開かれた”2026年から2030年までのホーチミン市の社会経済発展方向性に関する学術会議”において述べた意見だ。
アイン博士によれば、ホーチミン市の弱体化は、国のGDPと税収に対する貢献度と輸出額に占める割合に表れている。
5年程前までホーチミン市を含むベトナム南東部地域の全国輸出額に占める割合は50%を超えていたが、現在では33%弱にとどまっている。一方で、北部の紅河デルタ地域の輸出額に占める割合は53%に達している。これは、ホーチミン市を含めた南東部地域の重要性、地位、競争力が紅河デルタ地域よりも低下していることを示している。
さらに、ホーチミン市の経済構造は、工業生産が低下している。現在、ホーチミン市の域内総生産(GRDP)に占める工業生産の割合は24%にすぎない。
アイン博士によれば、工業は依然としてホーチミン市の要ではあるものの成長率は鈍化しており、経済理論ではこれを”早期の産業空洞化”と呼んでいる。一方で、サービスと商業もホーチミン市の重要な分野だが、ホーチミン市が新たな発展段階に入り9~9.5%の経済成長を達成出来るほど十分に強く、安定しているとは言えない。
アイン博士は、ASEANのクアラルンプール(マレーシア)やバンコク(タイ)といった大都市と比較して、ホーチミン市には十分な競争力があるとは示されていないと付け加えた。「ホーチミン市の競争力は徐々に低下しており、ホーチミン市の成長モデルにはもはや勢いがなく、限界に近付いていることが示されています」とアイン博士は述べた。
ホーチミン市党委員会書記次官補のチャン・ホアン・ガン博士も同様の考えで、スマートシティランキングにおいて、ホーチミン市は105位だったのに対して、ジャカルタは103位、バンコクは84位、クアラルンプールは73位、シンガポールは5位で、僅かにマニラの121位を上回ったに過ぎないと指摘する。
その他の興味深い指数として、世界の主要都市の移動性評価においてホーチミン市は183都市中130位となり、行政オンライン化指数は198都市中54位となっている。「これら指数は、ホーチミン市が政治局の決議にある目標を達成するために自分たちの位置を確認するのに役立ちます」とガン博士は述べた。
ガン博士によれば2011年から2015年の段階でホーチミン市の社会投資総額は1100兆VND(年平均220兆VND)、2016年から2020年の段階では1900兆VND(年平均380兆VND)だったが、2021年から2024年の3年間では年平均が335兆VNDに低下している。
ガン博士は、社会投資資本が成長の最大40%に寄与すると考えている。もし、投資資本が減少してもGRDPが増加し続けるのであれば、資本の活用効率が非常に高いことになる。しかし、実際には過去3年に社会投資資本が減少したことでホーチミン市の経済成長は、これまでより下がっており、社会投資資本の活用効率を見直す必要がある。
「社会投資資本を増加させるソリューションは非常に重要です」とガン博士は述べ、まずホーチミン市は2025年末までに社会投資資本を刺激し、社会経済インフラを構築し、成長の土台を作るために170兆VNDの公共投資を実施するように努力する必要がある。
国家財政金融政策諮問委員会のメンバーであるチャン・ズー・リック博士は、ホーチミン市はより付加価値の高い製造段階に参入するための経済再構築の突破口をまだ見いだせていないと指摘した。ホーチミン市内の各工業団地、輸出加工区、製造業は生産効率の改善が進まず、価値構造におけるテクノロジーの導入率が依然として低い。ホーチミン市は長年にわたり重要なプロジェクトや公共工事に取り組んでいるがその多くは法的な問題に直面し効果は限定的で、資本の無駄遣いになっている。
リック博士によれば、”中所得の罠”から抜け出すには、ホーチミン市は2024年には7.8%、2025年には8.5%の経済成長を達成するように努力する必要がある。2026年から2030年の段階では、公共投資を増加させ、民間投資を誘致し、社会投資総額をGRDPの35%にまで引き上げなければならない。また、労働生産性も毎年7~8%の上昇が必要となる。一方で、ホーチミン市は、労働生産性向上のために積極的にデジタル化と技術改革をおこなう必要がある。
今回の会議でホーチミン市人民委員会のファン・バン・マイ主席は、2026年から2030年の社会経済計画における2030年までの経済成長目標8.5~9%を達成するためには、ホーチミン市は社会全体で4400兆VNDの投資が必要だと述べた。つまり、年間で800~900兆VNDの投資が必要となる。
マイ主席は、ホーチミン市にはこの計画を実現する能力があるが、重要なポイントは、社会資源を呼び込むために、その資源がどこからきて、どのような政策メカニズムが用意されているかを明らかにすることだと述べた。「投資においては、環境や魅力の他に政策やメカニズムも非常に重要です」とマイ主席は述べ、計画投資局に対して関連機関と協力して、現実的な解決策の研究と提案をおこなうよう指示した。
出典:2024/08/26 VNEXPRESS提供
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