ベトナムのコメ輸出量が2025年上半期に過去最高となる約490万トンに達し、世界の供給過剰と価格下落が進む中、注目を集めている。
タイ紙「The Nation」によれば、タイのコメ価格は17年ぶりの低水準に陥り、前年同期比で25%下落している。特にインドネシアがコメの輸入を一時停止し、アメリカ市場では相互関税の影響が出始め、さらにインド産米との競争も激化している中で、タイ米は苦戦を強いられている。米国農務省(USDA)は、2025年のタイのコメ輸出を700万トンと予測しており、ベトナムはそれを上回る見通しだ。
インドは2025年度に過去最高となる2500万トンを輸出するとみられており、タイ米はその影響を直接受けている。なお、インドでは2024年度(2025年6月まで)の米の収穫量が1億4600万トンに達する一方で、国内消費量は1億2000万トン程度にとどまっている。これにより、国内でコメの在庫が急増しているインドは、6月に全世界の輸出量の9%に相当する520万トンのコメをエタノール製造に割り上げてると発表した。
一方、ベトナムでは2025年上半期のコメ輸出が前年同期比で8%増の490万トン、輸出額は25億4,000万USDに達した。平均輸出価格は前年比18%減の1トンあたり517ドルだが、価格競争力を維持している。
ベトナム産のコメは、主力市場であるフィリピン向けは17%減少したが、西アフリカ諸国(コートジボワール89%増、ガーナ61%増)など新興市場で大幅な伸びを示した。国内では、品質向上により農家の販売価格も上昇しており、日本品種などの高級米では1kgあたり7,600VND(約42円)以上での取引が進む。
企業側では、標準米の価格下落が見られるものの、OM5451やDT8といった高品質品種は安定した需要を背景に好調を維持している。また、ベトナムのコメが「収穫から精米・出荷まで2週間程度」で届く迅速な供給体制をとっていることが他国との差別化要因となっており、特にフィリピンや中国の市場では高い評価を受けている。
USDAは、ベトナムの2025年通年のコメ輸出量を790万トンと予測しており、タイを約100万トン上回り、世界第2位の輸出国になる見通しである。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN