2025年上半期、中国は米国を抜き、ベトナム産の水産物を最も多く消費する国となった。特に、ロブスターやブラックタイガーといった高価格帯の商品が人気を集めている。
ロブスターや高級エビに高い需要
ベトナム水産品輸出・加工協会(VASEP)によると、2025年上半期のベトナム水産物輸出における最大の特徴は、中国市場の「驚異的」な成長である。人口14億人を抱える中国への輸出額は11億USDに達し、前年同期比で45%も増加した。この数字は米国への輸出額(9億500万USD、17.5%増)を上回っており、ベトナムにとって世界最大の輸出先となった。
農業・環境省によると、2025年上半期のベトナムの水産物輸出総額は約52億USD
で、前年同期比17%増となっている。国別では中国が20%、米国が18%、日本が15%のシェアを占めている。そんな中、ブラジルは、71%増と最も高い成長率を記録した。
中国市場では、ギフト需要の高いロブスターやブラックタイガーエビの需要が拡大しており、ベトナム産のカニも人気を博している。2025年5月までの5か月間で、カニ類の対中輸出額は約8,000万USDに達し、前年同期比71%の伸びを見せた。加えて、コスト競争力のあるパンガシウスなどの加工品も堅調だ。
高い需要の一方で激化する競争
カマウ省に本拠を置く水産加工会社「アインコア有限会社」のチャン・アイン・コア社長は、「低価格帯の水産物は中国で加工され、第3国へ再輸出されるケースが多いですが、中国国内での消費も非常に旺盛です」と述べた。特にブラックタイガーエビは品質と見た目の良さから、祝い事や家族の集まりで重宝されている。
ただし、ここ1~2か月は旧正月シーズンの終了や中国経済の減速を受けて、消費が一時的に鈍化している。しかし、企業は中秋節や年末商戦に向けた動きを本格化させており、回復の兆しも見えている。
一方、ホーチミン市を拠点とする「タンニョン水産商事有限会社」のグエン・ティ・アイン・トゥー社長は、ロブスターの対中輸出が年初から好調だった一方で、最近は停滞していると指摘。その理由として、消費者の節約志向や、他国からの供給増による価格競争の激化を挙げた。
VASEPは、ベトナムがエクアドルやインドなど他の供給国に比べて、地理的優位性や物流コストの低さ、安定した貿易関係、高品質への信頼などの面で優れており、中国市場でのシェア拡大が可能だと指摘している。一方で、為替リスクや中国側の輸入管理強化、国産品優遇の傾向といったリスクにも注意を促している。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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