タイの業界団体が発表、価格競争で市場シェアに変化
2025年上半期、ベトナムはタイを抜いて世界第2位のコメ輸出国となった。タイPBSが8月3日に報じたところによると、これはタイコメ輸出協会の統計に基づくもので、バンコクではタイ産米の高価格が市場競争力を低下させていることに懸念が広がっている。
インドが首位、ベトナムが追い上げ
2025年1月から6月の統計では、インドが1,168万トンのコメを輸出し、前年比36.5%の増加となった。次いでベトナムは472万トンで3.5%増、タイは373万トンにとどまり、前年比で27.3%の減少となった。
一方、パキスタンは276万トンで20.2%減となり、アメリカは140万トンで23.5%減と他の主要輸出国も苦戦を強いられている。
タイ産米の主な輸出先と価格下落の懸念
タイ産米の主要輸出先はイラク(58万トン、全体の15.6%)とアメリカ(43万トン、7.4%)だ。その他にアフリカ諸国向けが35万トン、中国向けにも33万トンが輸出されている。
同協会のチャルーン会長は、2025年上半期の輸出額が755.7億バーツ(約23億ドル)で、前年同期比36.4%減だったと説明。7月にはイラク、中国、日本、アフリカ諸国からの注文増加で60万トン超の輸出が見込まれているが、輸出増の要因は、価格の下落によるものとみられる。
米価格の下落傾向とタイ業界の危機感
タイPBSによれば、米価格は供給過多と需要減によって今後さらに下落する可能性がある。タイの米業界では、価格競争の中で他国とのシェア争いが激化すると予測されている。
タイの輸出業者は米国の19%の関税よりも、世界市場の需給バランスや日本が米国産米を優先する可能性をより懸念している。
ベトナム米、数量増も単価下落で利益圧迫
ベトナム農業・環境省によると、2025年7月のコメ輸出は輸出量は推定75万トン、金額ベースでは3億6,610万ドルに達した。7カ月累計では輸出量550万トンで金額ベースでは28億1,000万ドルとなり、前年同期と比べて数量は3.1%増だが、金額は15.9%減となった。
金額ベースで減少となった主な原因は、輸出単価の下落だ。7カ月間の平均輸出単価は514ドル/トンで、前年同期比18.4%の下落となっている。
主力市場と新興市場の動向
フィリピンはベトナム米の最大の輸出先で、全体の42.6%を占めるが、輸出額は13.5%減少している。一方で、ガーナ向けが53.5%増、コートジボワール向けが96.6%増と、アフリカ市場が急激に拡大している。
15の主要輸出先の中では、バングラデシュが188.2倍と最大の増加率を記録し、マレーシアは58.5%減で最大の落ち込みとなった。
業界関係者「ベトナム米に明確な差別化」
ベトナム食品協会(VFA)のドー・ハー・ナム会長は、今回の順位の逆転は小幅ではあるが、ベトナム米が価格と品質の両面で明確な差別化を実現した結果だと分析する。特にフィリピン、アフリカ、中国市場ではベトナム産米が人気を維持しているという。
2025年上半期のベトナム米の平均輸出価格は517ドル/トンで、他の輸出国の400ドル前後を大きく上回っている。
タイ米の今後と市場戦略
ナム会長は、タイのジャスミン米が米国関税の影響を受け、市場での地位を徐々に失っているとし、ベトナムの「ST21」などの品種が同等の価格帯で人気を博している点を指摘した。
タイ側のチャルーン会長も「高価格に満足せず、適正価格で大量販売するのが賢明だ」と警鐘を鳴らしている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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