ベトナム産コメ市場への影響は限定的か
世界最大の輸入国が突如方針転換
8月6日、フィリピン政府はコメ輸入を60日間停止すると公式発表した。対象期間は2025年9月1日から10月末まで。フィリピンは世界最大のコメ輸入国であり、ベトナムにとっても最大の輸出先であるだけに、世界市場に衝撃が走った。
この措置は、フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領が農業省の提案を受け入れたもので、国内農家をコメ価格低迷から保護することが目的とされる。現在、同国では収穫期を迎えており、コメ価格は前年同期比で最大31%下落している。
関税引き上げ案から一転、全面停止へ
フィリピン農業省は8月4日に輸入関税引き上げを含む複数の対策案を提案していた。現行の関税率15%を25%または35%に引き上げる案もあったが、最終的に政府は輸入停止を選択した。
同国は2024年に480万トンのコメを輸入しており、米国農務省(USDA)は2025年には過去最高の510万トンを輸入すると予測していた。今回の決定は、2023年7月にインドがコメ輸出を停止した事例に匹敵する影響力を持つとみられている。
ベトナム産コメへの依存度は8割超
フィリピンは輸入コメの約80%をベトナムから調達しており、逆にベトナムは総輸出量の約45%をフィリピン市場に依存している。2025年上半期も、フィリピンは43%のシェアでベトナム産コメの最大の買い手であった。
輸出業者「短期的影響は小さい」
メコンデルタ地域の輸出業者らは、今回の輸入停止がベトナム国内のコメ市場に与える影響は限定的だとみている。
その理由として、以下の点を挙げている。
- 停止発効が9月1日からであり、それまでに備蓄用の買い付けが増える可能性が高い
- ベトナム産コメは価格競争力と品質で優位性がある
- 停止期間が収穫期と重なり、在庫の逼迫は起きにくい
また、フィリピン市場は近年、政策変更が頻繁でリスクが高いため、輸出業者には多角化戦略の必要性も指摘されている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN