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【観光】旅するベトナム人──「移動」が映す経済の成長と豊かさ

フーコック島の観光施設を訪れるベトナム人
(C)THANH NIEN

序章:旅に出る理由が変わった

若さを取り戻す旅、心を癒やす旅、未知の世界を探す旅。
こうした「移動」が、いまベトナムで年間数億回も繰り返されている。
人々が旅に出るという行為自体が、国の豊かさと経済発展を映し出している。

旅行は「贅沢」から「日常」へ

午前6時のタンソンニャット空港国内線ターミナル。
ホーチミン市ビンドン街区在住のグエン・ティ・フエさん(63歳)は、角の擦れたベージュのスーツケースを引いていた。今日は初めてのダナン行きだ。
「昔は旅行なんてお金持ちのものだと思っていた。でも今は年を重ねて、健康のためにも一度は行ってみようと思った」と笑う。

同じように考えを変えたのが、ビンズン省の工員ファム・バン・ロックさん(37歳)だ。月給1,200万ドンながら、コツコツと貯めて家族でフーコック島へ旅行に行く。
「コロナ後に人生の短さを実感した。新しいスマホを買うより、子どもたちに思い出を残したかった」とロックさんは語る。

若者世代では旅行が「ライフスタイル」になりつつある。
銀行員チャン・ミー・ズエンさん(25歳)は毎年3回以上の海外旅行を目標にしている。「去年は桜を見に日本へ。今年は韓国、次はヨーロッパ」と語る彼女にとって、旅行は自己投資の一つだ。

観光が支える経済の「骨格」

2025年最初の8か月間で、ベトナムを訪れた外国人観光客は約1,400万人と前年比22%増加した。一方で、国内旅行客は延べ1億600万人に達している。
独立記念日の4連休(8月30日〜9月2日)だけで、国内旅行者は約550万人。前年同期比83%増という驚異的な伸びである。

ファン・ミン・チン首相は、観光業を「9つの経済・社会の明るい点のひとつ」と評価しており、その中心を支えているのは、外国人ではなく「国内観光客」である。

RMIT大学のファム・フーン・チャン博士はこう分析する。
「外国人観光客は“ステージの光”だが、国内旅行者は業界を支える“背骨”だ」。
2022年には国内観光客数が延べ1億1300万人を突破し、2019年の記録を超えた。
内需の力が、外需に頼らない強靭な観光産業の基盤となっている。

世界へ旅立つベトナム人たち

近年、海外旅行に出かけるベトナム人も急増している。
人気の行き先はタイ、シンガポール、韓国、日本など。
Z世代はバンコクやソウルへ、中間層の家族は桜を見に日本へと向かう。

注目すべきは、彼らが“観光客”であると同時に“文化の伝達者”でもあることだ。
ネパールやヒマラヤの山頂で翻るベトナム国旗、京都の街並みに映えるアオザイ姿、SEA GamesやW杯の赤い応援団。そのすべてが「動く国旗広告」として、世界にベトナムの存在を印象づけている。

旅行が動かす消費の波

旅行に出るという行為は、経済全体を動かす。
1ドンの旅行支出は、2〜3ドンの間接支出(農産物、工芸品、輸送、娯楽)を生むとされる。

ホーチミン市からダラットへ出かけた4人家族を例に取ると、
バス代、宿泊費、朝食のバインカン、地元のカフェ、イチゴ農園、夜市での買い物まで、一つの旅が地域経済を丸ごと動かしている。

ファム・フーン・チャン博士は「観光は単なる娯楽ではなく、経済を循環させる“総合的なエンジン”だ」と指摘する。

豊かさの証としての「旅」

経済学者チャン・アイン・トゥン博士(ホーチミン市経済金融大学)はこう指摘する。
「旅行にお金を使うということは、生活の質が向上した明確な証拠である」。

2025年の観光収入は8か月で707兆ドンに達し、すでに前年(840兆ドン)に迫りつつある。かつて“贅沢品”だった旅行は、いまや中流層の「日常支出」になりつつある。

人々が旅に出る国、それはすなわち「経済が歩き出した国」でもある。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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