高付加価値産業で70%の需要見込み
ホーチミン市内務局のルオン・ティ・トイ副局長は、2025年から2030年にかけて、同市で80万人から100万人超の新たな労働力が必要になると述べた。そのうち約70%はサービス業やハイテク産業など、高付加価値分野に集中するとしている。
この発言は、11月9日に労働新聞社が開催した「人材と企業のマッチングプログラム Job Link 2025」での講演で示されたものである。
デジタル化とグリーン転換が雇用構造を変える
トイ氏によると、ベトナム経済は今後、デジタル経済・自動化・グリーン転換・再生可能エネルギー・クリーン交通・効率的物流といった方向へ発展すると見込まれる。
これにより多くの新たな雇用が生まれる一方、労働者には専門知識やスキルの継続的な習得が求められる。
「拡大ホーチミン市」構想で市場が活性化
2025年7月には、ホーチミン市、ビンズン省、バリア・ブンタウ省が統合され、約1,400万人規模の「新ホーチミン市」が誕生した。
この統合により、東南アジア有数の経済・金融・産業・物流拠点としての地位が強化されるとともに、労働市場の活性化が期待されている。
ホーチミン市雇用サービスセンターの統計によれば、2025年初めから10月までに、求職者は14万人超、募集職種は25万件を超え、いずれも前年同期比で大幅に増加した。
ホーチミン市は年10%成長を目指す AIやデータ分野に注目
ホーチミン市は今後、年間GDP成長率10%を目標に掲げ、科学技術・イノベーション・デジタル化を中心とした新たな成長モデルの確立を目指している。
その中核となるのが、AI、データ分析、自動化、再生可能エネルギー、物流、金融マネジメントなどの分野である。
ただし、これらの分野では高い専門性が必要とされ、一般労働者が中心の労働集約型産業にとっては大きな課題となる。
「過剰と不足」併存する労働市場
ホーチミン市の労働市場は現在、一般労働者が過剰である一方、高度人材の不足に直面している。
この構造的問題を解消するには、教育・職業訓練制度の改革と人材育成施策の強化が不可欠である。
短期的には、2025年末から2026年初頭にかけて、縫製、製靴、木製家具、電子機器、機械製造などの業種で安定した採用需要が続く見込みである。
また、食品・飲料業界では旧正月前の繁忙期に向けて求人が急増している。
一方、季節労働や短期雇用のニーズも拡大しており、特に学生や若年層の間で短期アルバイト需要が高まっている。年末期から旧正月(テト)前にかけては、2万5,000~3万件の新規・代替雇用が発生すると予測されている。
採用の在り方も変化 「柔軟性」と「適合性」が鍵
求人サイト「Việc Làm Tốt」の営業ディレクター、チャン・キム・チャン氏は、企業の採用方法だけでなく、働き方や求められるスキルそのものが変化していると指摘する。
同氏によれば、現在の労働市場では「スピード採用」や「柔軟採用」が主流になりつつあり、特にF&B、物流、小売業などでは「必要な時に、必要な人を、適切な場所で雇う」傾向が強まっている。
デジタル採用と「ギグエコノミー」の拡大
労働市場では、AIや行動データ、チャットボットなどを活用した採用プロセスの自動化が進んでいる。
応募から面接、採用までをオンラインで完結させる企業も増え、労働者もこうしたデジタル環境への適応が求められている。
また、労働者が勤務時間や勤務地を柔軟に選ぶ「ギグエコノミー」型の働き方が拡大しており、特に若者層で人気を集めている。
学歴よりもスキル、そして適応力へ
チャン氏は、「いま企業が重視しているのは学位ではなく、実際に何ができるか、専門スキルと適応力である」と指摘した。
さらに、テクノロジーと人を結びつける「戦略的人材マネジメント」が今後の鍵を握ると述べた。
企業は柔軟性を、労働者は適応力を、そして求人プラットフォームは両者を最適につなぐ「知的基盤」を持つことが求められている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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