12年間で約80㎝沈下 ホーチミン市アンラック街区に深刻な影響
ホーチミン市で最も沈下が進んでいるのは、アンラック街区(旧ビンタン区)である。南部水資源計画・調査連盟によると、2005年から2017年にかけて同市全体で平均年間約2cm沈下し、累計23cm地盤が沈下した。一方、アンラック区はその3倍以上となる81cmも沈下しており、市内最大の地盤沈下地域となっている。
アンラック街区人民委員会のレ・ミン・ニュット副主席は「地盤がもともと軟弱なため、長期的な沈下は避けられない」と説明する。
住民の不安 壁のひび割れ・傾いた床
11月8日現在、アンラック区の多くの住宅で床が道路より低くなり、壁にひびが入り、床が傾くなどの被害が見られた。
レーコー通りや2A通り、キンズーンブーン通り、ゴーイーリン通り、ホーホックラム通りなどでは、特に住宅の沈下が顕著だ。
レーコーー通り沿いでは、多くの家が床をかさ上げし、道路より50cm以上高くするケースもある。住民は「壁のひびや傾きが続いており、修繕してもすぐ再発する」と話す。
2A通りに住むグエン・ティ・ビック・トゥイさんの家では、壁の根元に大きな亀裂が入り、道路の沈下でごみや雨水が流れ込むのを防ぐためにレンガで仮に塞いでいるという。隣のチュオン・ティ・ダオさんも「何度も修理したが、また沈む。今はさらに床を上げることを考えている」と嘆いた。
市場も冠水 商売が成り立たない状況に
ホーホックラム通り沿いの第2市場では、雨季や高潮のたびに道路が冠水する。
20年以上ここに住むトー・クオック・ディンさんは「午前7時と午後5時ごろに水が上がる。黒く濁った悪臭の水で、買い物客も減った」と話す。
露店の前では、商品を高く積み上げて水を避ける姿が見られるが、大雨の際には店内まで水が入り、商品が濡れてしまう。
露店主のルアさんは「下水の臭いがひどく、いつもマスクをしている。売り上げは落ち込み、家賃も払えず、近いうちに店を畳むかもしれない」と肩を落とした。
学校や公共施設にもひび割れ
沈下の影響は住宅だけでなく、学校や文化・スポーツセンターにも及んでいる。建物の基礎部分には大きなひびが入り、内部にはごみや土砂がたまっている。
柱の一部は手のひらほどの幅で割れ、地盤沈下の深刻さを物語っている。
市全域に広がる沈下問題
地盤沈下はアンラック街区だけの問題ではない。ホーチミン市は2016年以降も地盤沈下測定の継続を指示しており、旧ビンチャイン県、旧ビンタイン区、旧トゥードゥック市、旧ニャーベー郡、旧8区、旧7区、旧2区、旧12区などでも沈下が確認されている。
さらに2019年の調査では、旧クチ郡で最大52.2cm、旧ホックモン郡で23.6cm、旧9区で25.3cmの沈下が新たに確認された。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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