ベトナム商工省の国家競争委員会は、年末の買い物シーズンを前に、消費者に対し「値引き詐欺」ともいえる不正な割引手法に警戒するよう呼びかけている。
これらは、元値をつり上げたうえでの“見せかけ割引”、虚偽の在庫表示による希少性の演出、そして低品質商品の割引販売など、多岐にわたっている。
年末商戦で増える不透明な“割引”
年末は商戦が最も活発化する時期であり、ECプラットフォームや小売チェーン、流通網では多数のプロモーションが展開されている。「衝撃値引き」「12.12スーパーセール」「本日限定特典」「年末在庫一掃」などの宣伝文句が至るところに並び、活気ある消費市場を形成している。
しかし実際には、透明性に欠けるプロモーションが横行しており、消費者の正確な情報取得や選択の権利を侵害する恐れがあるという。
3つの“偽りの値引き”手法
国家競争委員会によれば、年末商戦で特に警戒すべき手法は次の3つである。
①元値をつり上げた後に割引する手法
店舗・オンライン双方で一般的な手口で、実際の価格より高い“見せかけの元値”を短期間だけ設定し、その後大幅値引きとして表示するもの。
「50~70%オフ」「1つ買うと1つ無料」「全店在庫処分」「衝撃値下げ」などを掲げても、実際の割引後価格は市場価格と同等、あるいは高い場合もある。
②在庫が少ないように見せかけ購入を急がせる手法
「残り1点」「まもなく在庫切れ」「500人が閲覧中」といった表示でFOMO心理(取り逃す不安)を刺激し、検討時間を与えず購買を促す方法である。
③低品質商品を“割引商品”として販売する手法
大幅な値引きが提示されていても、実際には写真と異なる外観や色、サイズの相違、説明と明らかに異なる粗悪な素材など、品質が不十分なケースが増えている。
中には、技術基準を満たさず、出所情報やラベルのない商品もあり、安全面でのリスクが大きい。
消費者が取るべき対策
国家競争委員会は、買い物シーズンのリスクを減らし、権利を守るため、以下の対応を推奨している。
- 価格追跡ツールの利用やレビューの確認により、本当の割引かどうかを検証する。
- 複数店舗で価格を比較し、値引き率の妥当性を判断する。
- 正規販売店、大手ECサイト、認証済み店舗を優先して購入する。
- 返品条件、保証、追加料金、適用期間などの注意事項を確認する。
- 個人販売者、情報が不十分な販売者、悪評が多い販売者は避ける。
- 購入時の画面、価格表示、プロモーション情報、開封動画などの証拠を保管する。
特に、市場価格を大きく逸脱した“異常な割引”、出所不明の商品、品質証明がない商品には注意が必要である。
透明な取引環境の確保を呼びかけ
委員会は、事業者に対し、法令を遵守し誠実なプロモーションを行うよう警告している。不正行為は消費者の利益を損なうだけでなく、市場競争をゆがめ、信頼を低下させると指摘する。
また、消費者にも、情報を自ら確認し、不審な行為を早期に通報して、安全で公正かつ透明な消費環境づくりに協力するよう求めている。
消費者の権利:理解しておくべきポイント
2023年消費者権利保護法によれば、消費者には以下の権利が認められている。
- 正確で十分な情報を受け取る権利
- 苦情および損害賠償を請求する権利
- 違反行為を所管機関に通報する権利
プロモーションに関しては、価格、割引前の設定額、適用条件について事業者に説明を求めることができる。
本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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