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【経済】低空経済が開くベトナムの新成長空間 ドローンが支える農業・物流・都市

ドローンによる農薬散布
(C)THANH NIEN

災害支援や農業で定着するドローン活用

災害で深刻な被害を受けた地域の住民に生活必需品を届けるためのドローン(無人航空機)の運用や、ドローンによる稲の播種、施肥、農薬散布などは、すでにベトナムの人々にとって見慣れた光景となっている。これらの応用は、ベトナムが大きな潜在力を有すると評価されている「低空経済(Low-Altitude Economy=LAE)」の一部である。

救助・生産・気象分野まで広がる応用

11月に中部・中部高原地域を襲った歴史的豪雨の際、ベトテル(Viettel)グループは、深刻な浸水によりボートや小型船でも接近が困難だったカインホア省の複数地域において、5機のドローンを投入し救援物資の輸送を実施した。数日間で300回の飛行を行い、約3トンの食料品・生活必需品を住民に届けたという。

これに先立ち、10月初旬の台風マットモー通過後にも、ベトテルはタイグエン省の浸水地域でドローンを用いて医薬品や必需品を輸送した。10月8日から9日の2日間で200回の輸送飛行(計約5トン)と30回の誘導飛行を行い、救助部隊が最短ルートを特定するのを支援した。

台風・洪水被害が拡大した中部各省では、救助隊や慈善団体も孤立地域への支援にドローンを活用している。

メコンデルタ農業を支える低空技術

救助・救援にとどまらず、メコンデルタではドローンが農家にとって不可欠な生産ツールとなりつつある。1ヘクタールの水田に対する農薬散布は3~5分、施肥や播種でも最大10分で完了し、生産工程の大幅な短縮とコスト削減、生産性向上に寄与している。

稲作以外にも、ロンガン、ドリアン、マンゴーなど果樹栽培へと応用が広がり、薬剤散布や施肥、播種のサービス費用は人手に比べて大幅に低い。

カントー市のトゥアンタン協同組合副代表、ズーン・バン・シエウ氏は「1作で少なくとも7回の農薬散布が必要で、年3作なら21回になる。ドローンの最大の利点は、農家が化学薬品に直接触れずに済み、健康を守れる点だ」と語る。

推計では、メコンデルタだけで約3,000機のドローンが150万ヘクタールをカバーしており、2025年には全国で6,000機に達する可能性がある。農業用UAV・ロボット市場は2030年に3億6,370万米ドル規模に達し、年4.76%成長が見込まれている。

高度1,000メートル以下が次の成長空間

データによると、低空航空産業の世界市場は2035年までに約7,000億USD規模に達すると予測されている。ベトナムにおける低空経済の潜在規模は最大100億USDと評価されている。

地政学的条件、イノベーション促進政策、若く活力ある労働力といった利点を背景に、ベトナムは地域および世界の低空産業拠点となる新たな機会を迎えている。10月には「ベトナム低空経済連盟」が設立され、今後10~15年で数千の関連企業、100万人の高付加価値雇用、数十億米USDの経済効果を生み出すことが期待されている。

「黄金期」に差しかかるベトナム

FPTグループの最高技術責任者(CTO)ブー・アイン・トゥ氏は、低空経済はすでに数千億USD規模に成長し、年30%で拡大しており、米国、中国、欧州では戦略産業と位置付けられていると指摘する。

同氏は、ベトナムはいまこの分野に参入する「黄金のタイミング」にあるとし、航空・宇宙技術とドローン/UAVを基盤とする全く新しい産業の扉が開かれていると述べた。特にメコンデルタは、国内最大のドローン応用地域であると同時に、国際企業の実証実験の場にもなっている。

新産業としての低空経済

トゥ氏によれば、低空経済はドローン製造にとどまらず、機器、半導体、センサー、飛行管理プラットフォーム、3Dデジタル地図、運用サービス、保険、人材育成、農業や他分野への応用を含む包括的な新産業を形成する可能性を持つ。

農業ではGDPの12~14%、労働人口の約40%を占める中で、ドローンは自動散布、施肥、病害監視、生育評価の中核技術となりつつある。1機のドローンが1日で67ヘクタールを処理できるのに対し、人手では約1ヘクタールにとどまる。

物流分野では、2030年に630億USD規模に達すると予測される電子商取引を背景に、タイグエン省、トゥエンクアン省、バクニン省などで救援物資配送の実証が行われ、ランソン省の物流拠点では自動配送も試験運用されている。

スマートシティ分野では、旧トゥードゥック市やハノイで交通、インフラ、送電線、都市秩序の監視に活用されており、低空経済の活用は経済だけでなく、安全保障や緊急対応能力にも直結する。

二桁成長を支える新たな原動力に

政府が来年以降10%超の経済成長を掲げ、2026~2030年に連続二桁成長を目指す中、専門家は低空経済が新たな成長エンジンの一角を担う可能性があるとみている。

ホーチミン市経済・金融大学の経済学者チャン・アイン・トゥン氏は、低空経済は一過性の技術ブームではなく、農業、物流、都市、エネルギー、観光といった既存産業の上に重なる新たな経済・技術インフラであると分析する。

その潜在力を最大限に引き出すには、①制度、②インフラ、③企業能力の三方向を同時に整備する必要があるとし、法制度の明確化、充電・電力網・通信・高精度地図などの基盤整備、そして国内企業が価値連鎖を主導できる戦略的支援の重要性を指摘した。

本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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