日本人(ベトナム非居住者)がベトナム国内に不動産を所有したまま相続が発生した場合には、日本ではなくベトナムの民法が適用されることになります。
そのため日本と同様に、誰が相続人となるかをベトナムの民法を確認した上で、被相続人との相続関係を当局に証明していく必要があります。ベトナムの民法上、法定相続は以下のように規定されています。
第一相続順位は、被相続人の配偶者、実父、実母、養父、養母、実子、養子からなる(以降、第二、第三については文字数の関係で省略)。
いかがでしょうか。日本と比較すると、第一相続人の登場人物が多いことがわかります。そのため、日本の民法上で適切な遺産分割協議書を事前に作成していても、ベトナムでは当局から否決されてしまいます。そして、先のベトナムの民法上での、適切な遺産分割協議書を作成し直すという手続きになるのです。
さらに当局では外国人非居住者の相続案件の対応事例が少ないことから、相続人の確定まで大変な時間を要する傾向にあります。
このため当社では、相続が発生する前にベトナム不動産については売却手続きを行うか、弁護士さんなどにリーガルチェックをしていただき、ベトナムの民法上適切な遺産分割協議書を作成するか、生前贈与を行うかなどの対策を推奨しています。
いずれにせよ残された相続人が困らないよう、海外の不動産や現金などについてはご家族と事前に十分なコミュニケーションを取り、共有をしておくことがまず第一歩となるかと思います。