アメリカのバイデン大統領とベトナムのグエン・フー・チョン書記長の会談により、両国は平和、協力、持続可能な発展のために包括的な戦略パートナーシップを締結することで合意した。
「両国国民の利益と新たな環境の中で平和協力、持続可能な発展という目標に向けた協力関係強化を目指し、ベトナム政府は、両国が関係性を包括的な戦略パートナーシップという新たなレベルに引き上げることを歓迎します。」と9月10日に共産党中央委員会本部でジョー・バイデン大統領と会談したグエン・フー・チョン書記長は党中央渉外委員会を通じて発表した。
チョン書記長は、ベトナムの一貫した外交政策は、独立、自主、平和、友好、協力と発展および、世界各国との全方位外交であると述べた。また、ベトナムは国際社会に包括的かつ、深く参入し、国防政策の基本原則として『4つのNO』を堅持している。
複雑な世界情勢と国際紛争の中でベトナムは、当事国同士が国際法と国連憲章の基本原則を尊重したうえで対話をおこない、平和的に紛争を解決することを期待している。
「今回の重要かつ有意義な訪問を通じて、バイデン大統領をはじめとした訪問団メンバーの皆様がベトナムの革新的でダイナミックな発展具合、長い歴史を持つ伝統文化、そして愛情深く、もてなしの心を持ち平和を愛するベトナム国民に直接触れ合う機会が増えることを願っています」と会談後の共同記者会見でチョン書記長は述べた。
ベトナムは、アメリカの南シナ海問題に対するベトナムとASEANの立場への支援を高く評価している。ベトナムはアメリカに対して、引き続き平和と安全保障への支持と積極的な貢献を継続し、航行と航空の自由を守り、南シナ海周辺国の正当な権利を保護し、武力による威嚇や武力の行使ではなく、国際法に則り、平和的な手段で紛争を解決することを期待するとした。
チョン書記長は、ベトナムが第二次世界大戦中にファシストと闘うためにアメリカに協力していたことを回想した。ホーチミン主席は、ベトナムの独立宣言の冒頭部分にアメリカの独立宣言の一部を引用しており、ベトナムとアメリカの完全な関係樹立を求める書簡をアメリカ政府に送付していた。
しかし、両国関係は紆余曲折を経て、第二次世界大戦後に20世紀で最も長く苛烈な戦争を経験した。ベトナムは両国が関係を正常化した1995年以降、特に2013年に包括的パートナーシップを締結してからは、両国関係が力強く実質的に発展してきたこととの認識を示した。
チョン書記長は、これは両国が平和、協力、持続可能な発展のために包括的な戦略パートナーシップを締結するための重要な基盤になったと指摘した。
チョン書記長は、両国の包括的パートナーシップ樹立10周年を記念してバイデン大統領がベトナムを訪問したことに感謝し、2015年7月にチョン書記長がアメリカを訪問した際のバイデン大統領との誠実な交流の美しい思い出を回想し、これまでに両首脳でおこなわれてきた意見交換を高く評価した。
両首脳は、ベトナムとアメリカの関係性発展にとって最も重要なポイントは、国連憲章、国際法および、両国の政治体制、独立性、領土主権を含めた両国関係の指針となる基本原則を完全に尊重することだとの認識で一致した。
「我々は、お互いの状況、正当な権利について相互理解を進め、内政不干渉など二国間関係や国際関係において常に重要となる基本原則を重視することで合意しました」とチョン書記長は話し、アメリカの”強く、独立し、自主的に繁栄している”ベトナムへの支援を高く評価していると付け加えた。
「新たなパートナーシップの内容は、既存の協力内容を継承し、新たなイノベーションに向けた経済、貿易、投資の促進を通じた協力が、両国関係を新たな高みに引きあげる基礎と原動力になります。また科学技術分野の協力強化は、平和、協力、持続可能な発展に向けた包括的な戦略パートナーシップの新たな道筋になるでしょう」とチョン書記長は述べた。
バイデン大統領はチョン書記長との再開に喜びを表明し、今回の訪問は両国関係のみならず、インド太平洋地域そして、世界にとっても歴史機的意義があり、オープンで安定し、安全な地域を支援するアメリカの考えを示すものだと述べた。
「我々の関係性は戦争から正常化に移行し、今では世界で最も重要な地域の1つとして、安全保障と発展を促進するために関係を強化している」とバイデン大統領は述べた。
バイデン大統領は、この地域におけるベトナムの役割と立場を非常に重視しており、世界とこの地域における気候変動を含めた様々な問題に関するベトナムの積極的な役割を高く評価した。バイデン大統領は、ベトナムのASEANの中心としての役割を支援し、ベトナムと協力してASEANの団結と繁栄に貢献したいと述べた。
「両国関係が包括的な戦略パートナーシップに格上げされたことを大変嬉しく思います。これは、両国にとって非常に重要なステップであり、両国が世界と周辺地域の関係に大きな影響を与える問題に立ち向かう両国の強い関係性を示しています」とバイデン大統領は述べた。
バイデン大統領は、南シナ海が世界の繁栄と安定において重要な位置を占めていることを強調し、南シナ海に対するアメリカの立場を改めて強調した。バイデン大統領はまた、アメリカは、インド太平洋経済枠組みの目標を非常に重視していることも表明した。
バイデン大統領は、ベトナムの発展成果、国際活動への貢献および、チョン書記長の貢献と指導的役割を高く評価した。
バイデン大統領は、エレクトロニクス産業、気候変動対策、クリーンエネルギー開発など新たな段階における経済と科学技術協力を含め、ベトナムの発展を支援すると表明した。
「昨年、ベトナム企業がアメリカのノースカロライナ州に電気自動車とバッテリーの製造工場を建設するための40億USDの契約に署名し、7000人の雇用を創出しました。世界規模のベトナムのテクノロジー企業が今後もアメリカの株式市場に上場される見込みで、今回のベトナム訪問中には更に多くの重要なビジネス契約が締結されるでしょう」とバイデン大統領は述べた。
バイデン大統領は「戦争が両国国民に残した痛ましい結果に対処するため、両国政府と両国国民が信頼と相互理解を築き上げてきたことを誇らしく思います」と述べた。
バイデン大統領は戦後処理問題におけるベトナムとアメリカの協力は、両国国民の団結に基づき、つらい過去を乗り越えて発展した未来を受け入れるために両国が何が出来るかを示していると強調した。
「ベトナムは世界と周辺地域にとって重要な国です。私は両国関係が新たなステージに入ったことを非常に喜ばしく感じています」とバイデン大統領は述べた。
バイデン大統領は2日間の予定でベトナムを公式訪問した。バイデン大統領のベトナム訪問は2021年のアメリカ大統領就任以降で初めてのことになる。
ベトナムとアメリカの関係は1995年7月に正常化され、2013年7月に包括的パートナーシップに格上げされ、両国首脳によるハイレベル訪問が数多く実施されてきた。両国は政治・外交から経済、教育、科学技術、安全保障などあらゆる分野で協力を進めてきた。
2022年のベトナムとアメリカの貿易総額は1238.6億USD以上となり、前年から11%増加した。アメリカはベトナムにとって最大の輸出相手国であり、世界で2番目に大きな貿易相手国だ。一方、ベトナムはアメリカにとって世界で7番目に大きな貿易相手国であり、ASEANでは最大の貿易相手国となっている。
ベトナム戦争の後遺症の克服に関して、アメリカはダナン空港のダイオキシン解毒処理を完了しており、ビエンホア空港の解毒処理を迅速に実施することを約束している。またベトナム政府機関はアメリカ側と協力して、戦争の犠牲となったアメリカ兵733人の遺骨の捜索、身元確認とアメリカへの返還を実施している。
ベトナムはこれまでに、中国、ロシア、インドおよび韓国の4か国とそれぞれ、2008年、2012年、2016年、2022年に包括的な戦略パートナーシップを締結している。
出典:10/09/2023 VNEXPRESS
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