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ベトナム法律事情Vol.34
「専門家」の証明とは?
ベトナムのワークパーミット事情

―― 近々、ベトナムを離れることになるかもしれません。

鷹野 真剣な顔で、急にどうしたんですか!?

―― 実は、ワークパーミット(労働許可証)が来月で切れるんです。今、更新の申請をしてるんですが、なかなか通らないみたいで……。このままじゃ不法就労で強制送還もあり得るとか。

鷹野 外国人のワークパーミットについては、政令152号が2月に新しく施行されたばかりで、当局の運用が混乱しているところはあります。もう少し具体的に状況を教えてくれますか。

―― 私は、「専門家」というポジションでワークパーミットを取っています。以前は、日本の本社が専門家であるという証明書を出せばワークパーミットが発行されたらしいんですが、今はそれだけでは足りないと言われてまして。

鷹野 一番注目されている変更点の一つですね。専門家のワークパーミットは今までは本社からの証明書で取得できましたが、今後は5年以上の実務経験か、専門分野の大学を卒業して3年以上の実務経験が必要とされます。

 ですので、職歴やベトナムでの役職によっては、「管理職」や「技術者」でワークパーミットを取得する方法もあります。ただし、管理職の場合はふさわしいポストを用意する必要がありますし、技術者の場合も実務経験3年以上という条件があるので、確認が必要ですね。

―― まだ、諦めない方がいいですね!

鷹野 当局の実務が混乱している現状では、ワークパーミットを取得できる複数の選択肢を、同時に検討した方がよいと思います。

鷹野 亨 Toru Takano
長島・大野・常松法律事務所ホーチミン・オフィス弁護士。2012年日本国弁護士登録以降、経済産業省での2年半の勤務を経て、現在は主としてベトナムへの進出及び現地企業への法務アドバイスを行う。