デング熱に感染した場合は、軽症ですぐに熱が下がったとしても再度診察を受け、水分を十分に補給し、熱を下げるために頻繁に身体を拭いて、シャワーを浴びる際には体を強くこすりすぎないように注意する必要がある。
ホーチミン市医薬大学病院のレー・ティ・トゥイ・ハン医師は、デング熱について知っておくべきポイントとして、以下の5つを指摘する。
デング熱は死亡するリスクがある
デング熱は、デングウイルスを媒介する蚊(ネッタイシマカ)によって伝染する熱帯病の一種で、熱帯諸国では一般的な伝染病だ。デング熱の症状は、多岐にわたり急激に重症化して深刻な合併症を引き起こすこともあるが、現時点では有効なワクチンや治療薬は開発されていない。
発熱の兆候がある場合は、すぐに医療機関で診察と検査を受ける必要がある。通常、殆どの感染者は軽症で死亡するケースは稀で、医師の指示に従って自宅療養することになる。しかし、病状が急速に悪化するケースもあるため、患者は定期的に医師の診断を受けた方が良い。
デング熱が重症化すると出血、血小板の減少、または血漿(けっしょう)漏出を引き起こし、脳、肝臓、腎臓などの臓器を損傷させる可能性がある。
デング熱の4段階
デング熱の最初の段階である潜伏期間は平均3~7日間とされている。デングウイルスは、潜伏している場所や感染者の免疫によって異なる期間、徐々に増殖を続け、一定量を超えると特定の症状を引き起こす。
次に来るのが発熱期で、2~7日間にわたって頭痛、喉の痛み、吐き気、倦怠感などの症状がでる。また、39~40℃という高熱が出るのがデング熱の特徴だ。
3番目の重症期は、発熱期の後の3日目から7日目までとされている。この期間は最も危険な時期だが、高熱が下がるので多くの患者が油断する時期でもあるとハン医師は説明する。この期間にデングウイルスは体内の免疫を大幅に低下させ、白血球と血小板が大幅に減少し、身体の抵抗力が弱まる。そのために、皮下出血や鼻血などの出血症状が現れ始める。病気の重症度と合併症によっては、内臓出血、胸水、消化器官出血などの症状を引き起こす可能性もある。
最後の回復期には、血小板が徐々に増加し、心拍数が安定してくる。患者は大量に排尿するようになり、喉が渇いて食欲が増す。
デング熱患者の療養方法
異常な高熱や体温異常がないかを確認するために、患者は定期的に体温測定をする必要がある。発熱時の患者は、疲労感があり脱水症状に陥りやすい。そのため、子供であれば1日1.5リットル、成人であれば2リットルの水分を補給する必要があり、白湯やフルーツジュースなどから水分を補給する。お湯で濡らした布で体を拭き、腋の下や足の付け根に冷やしたタオルを挟んで体温を下げる。患者は、出来れば綿製の薄くて風通しの良い衣服を着用する。体温が38.5℃以上になった場合は、医師の指示に従って4~6時間おきに解熱剤を服用する。
ハン医師は、嘔吐したときに胃からの出血と誤認することが無いように赤い色の飲食物は避けるようにアドバイスする。患者は、お粥、スープなど液体食品を食べるようにし、油分が多い食品や消化に悪い食品は避けた方が良い。
さらに、デング熱に感染した患者は、発熱の症状が治まったとしても医師の再診察を受ける必要があることに注意が必要だ。また、激しい疲労感、吐き気、腹痛、鼻や口などからの出血、手足の冷え、息切れ、乏尿など病状が悪化している可能性のある症状が出た場合は、すぐに入院する必要がある。
デング熱でも入浴は可能
デング熱に感染した場合、患者はお湯で体を洗うことができる。ただし、冷たい水を使用すると皮下血管が収縮し、内臓血管が拡張することで死亡する危険性があるため注意が必要だ。重症期は、血小板が大幅に減少しており出血する危険性があるので、皮膚や筋肉を激しくこすらないようにする必要がある。
デング熱の予防方法
デング熱の原因となる蚊に刺されないようにするためには、住居とその周辺を清潔に保つ必要がある。家の中のバケツに水をためたまま放置することは絶対にやってはいけない。また、蚊の産卵を防ぐために、周囲の茂みを綺麗にしておく方が良い。家では、蚊取り線香や殺虫剤を使用し、寝るときには蚊帳を吊るして、蚊に刺されないようにする。
保健省は最近になって、今後雨季に入ってデング熱患者が増加する可能性があると警告している。ホーチミン市疾病予防管理センターも、毎年の感染サイクルによって今後感染が拡大する可能性があるとの予測を出している。
2022年1月から4月までの4か月間に全国で1万4700人以上のデング熱患者が確認され、このうちホーチミン市だけでも4500人以上が感染している。今年デング熱によって死亡した患者が確認されているのは、ホーチミン市、ビンズン省、タイニン省、ドンタップ省、ドンナイ省だ。2021年の同時期と比べて感染者数は若干減少しているが、死者数は1人増加している。
出典:03/05/2022 VNEXPRESS
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