【新型コロナ】工業団地で感染拡大の恐れ

5月12日、ベトナム保健省は、ベトナム国内で新たに82人の感染者を確認したと発表した。その多くが工場で働く労働者であり、政府当局は、感染が今後、工業団地に拡大するリスクを懸念している。

工場の労働者は、数が多く密集しているため、工場や工業団地は、病院に次いで感染リスクが高い場所と考えられている。特にインド型の新しいウィルスが蔓延しつつある状況では、このリスクはなおさら高いものとなる。

5月12日のダナン、バクニン省、バクザン省とのオンライン会議において「感染症の予防対策において最もリスクが高いのは病院で、その次は工場、中でも工業団地がリスクが高い」と全国COVID-19感染防止管理委員会の委員長でもあるブー・ドゥック・ダム副首相は指摘した。

4月27日から発生した第4波では、各地方の工業団地で多数の感染者が確認されている。例えば、バクニン省は昨夜、キヤノンの従業員2人が陽性となったことを受けて、キャノンの従業員宿舎にいる1200人を隔離することを決めた。また、5月11日にも同省ではSamusng Electronics Vietnamの2人の従業員の陽性が確認されている。

同じく5月11日に、ダナン当局は、新しいクラスターにより30人以上の感染者が確認されたとして、ソンチャー区のアンドン工業団地を封鎖している。

5月9日にはバクザン省もバンチュン工業団地のShin Young Vietnam社に対して3日間の封鎖と活動停止措置を命じた。このケースでは、この工場で働いていた患者番号3243番の陽性が確認された後、3000人以上の従業員全員のリストアップと検査サンプルの採取がおこなわれた。

今年の1月にハイズン省で発生した第3波でも、ハイズン省チーリン市のコンホア工業団地にあるPoyun社で働く従業員が感染源となっていた。その後、この患者の関連としてハイズン省では72人の陽性者が確認され、その殆どが工場の労働者であった。この第3波では、最終的にハイズン省だけで503人の陽性者が確認された。

「工業団地でクラスターが発生すれば、製造ラインとサプライチェーンが混乱し、ベトナム経済にとって深刻な影響を与える可能性がある」とダム副首相は話し、商工省大臣に保健省と協力して、今週中に工業団地を中心とした製造業向けの安全対策に関するオンライントレーニングを実施するよう指示した。

保健省のチャン・バン・トゥアン副大臣によると、感染エリアを効果的に特定するためには、迅速な検査が非常に重要である。「バクザン省、バクニン省、ダナンの工業団地で発生したようなクラスターを発見するためには、検査業務をさらに加速させていく必要がある」とトゥアン副大臣は延べ、各自治体は、感染拡大を抑えるために病院、工場、工業団地など感染リスクの高い場所で積極的にスクリーニング検査を実施すべきだ主張した。

ベトナム公衆衛生緊急対応センターの顧問であるチャン・ダック・フー氏は、ベトナムで多くの感染が発生しており、その多くがインド株であると強調した。そのためF1、F2だった人が、すぐにF0になるケースが増えているとして「市中感染の連鎖を断ち切るためには、スクリーニング検査を増やす方が、不合理な社会隔離措置を実施するよりも有益だ」と話した。

5月12日、ベトナム保健省は、新たに82人の市中感染者を確認した。これにより、4月27日からの累計感染者数は26省で611人となり、今年1月にハイズン省で発生した第3波の感染者数555人を超えた。

各地方自治体は、引き続き感染防止措置を徹底して実施する必要がある。ハノイ政府は、ダナンのクラスターにより感染が疑われている男性に関連する場所として、5月12日の午後に、ホアンキエム区にあるオフィスビルとドンダー区にあるマンションをバリケードで封鎖した。

クアンナム省人民委員会は5月13日の0:00から、公用車と救急車を除き、バス、タクシー、社用車などの感染発生地域への移動を禁止した。同決定によれば、省外のバス、社用車、タクシーなどで感染地域を通過した車両は、クアンナム省内で停車して乗客を乗降させてはならないとされている。