初海外のベトナムで、トライ&エラーを繰り返しながら13年が経過しました。得意分野や専門分野のない者が事業をしていると、時として泥濘(ぬかるみ)に足を取られます。数々の失敗をしてきた私は、この泥濘から脱出が得意分野です。連載の初回は10年も前の失敗になります。
「日本一小さな村で生まれた世界一の端子メーカー」と呼ばれる富山県のファインネクス様がベトナムに進出し、南部での工場建設を検討していました。最終的に工業団地のVSIP1に決め、不動産を購入したいと問い合わせると、「完売」とのこと。そこで同社の松田社長から「VSIP1で空いている土地の所有者を調べてほしい」と依頼がありました。
私にできたのは知合いのベトナム人有力者に聞くことくらいでしたが、不動産所有者を紹介できるとの話。よかった! しかし、両社をつなげて一件落着と思っていた私は知らなかったのです。外資系企業に土地の譲渡はできない、という当たり前のことを。
結局、M&Aの手法で企業買収となり、荷が重すぎると法律事務所に依頼すると、不動産所有企業の管理費未納が発覚。しかも支払いを拒否。続いて税金の未払いも発覚。法律事務所のスタッフがビンズン省人民委員会に奔走して何とか解決できましたが、不動産仲介する弊社が事前に確認すべきでした……不動産仲介料およびコンサル料金の大幅減額です。ただ、不思議と同社とのご縁は続いており、スタッフの結婚式などにも招待されています。泥濘からの脱出、ですかね?