「同じ釜の飯を食う」という言葉があるくらいに、一緒に食事をすることで親密さは深まります。ベトナムで仕事をする以上は、ベトナム人と一緒にベトナム料理を食べようと心掛けた時期がありました。ちょうどそんな時に、運送事業や日本商品の販売を手掛けるベトナム人社長から食事に誘われました。
指定されたローカルレストランに到着すると宴会は既に始まっていて、最初は5人ほどで人が三々五々集まり、最後は15人くらいに。「モッチャン、モッチャン(100%、100%)」と一気飲みが続き、飲み疲れたのでお金を払って帰ろうとすると、社長は受け取りません。その後2回ほど同じようなことが続いたので、「次回は私がお支払いします」と約束しました。
そして当日。社長にお店をお任せすると、海鮮料理の割と高級なローカルレストランで、VIPルームを予約。到着すると社長とその取巻き、見知った顔が数人来ており、今までと同様に人が増えていき、最終的には10人以上に。いつもと同じような時間が過ぎる中、いつもと違ったのは最後の支払いをする者だけ。そう、私の番でした。
ベトナムではお金を持っている人が持っていない人の分も出すのが常識のようですね。割り勘の習慣は少なく、お金や力のある人が他の人の分まで面倒をみる社会。それでも、こんなに人がやってくるとは……と思ったときは後の祭り。1000万VNDに近かったかな。会社経費で処理して、経理担当者には「ごめんなさい」と思わず謝ってしまいました。