「そうよ、大好きな皆に言っているの。今月の家賃は要らないわよ。仕事もなく家にいるしかないんだから、そのお金でお米や肉や子供のミルクを買ってちょうだい。7月の家賃は、皆とシェアすることにするわ。振り込まなくていいからね」この大家さんからのメッセージに、100人以上いる下宿の住人達は、喜びの涙を流した。
家主であるハンさん(41歳)からのメッセージに驚いたホーチミン市タンビン区に住むフイン・チュン・ヒエンさん(27歳)は、「うちの大家さんは最高だよ。大好きさ。5つ持ってる物件の全部で無料にしたらしいよ。こんなに暖かくて繊細なメッセージを貰って感無量だよ」と誇らしげに話した。
ホーチミン市の感染拡大によってヒエンさんは2か月間も休職を余儀なくされている。収入源が無い中で食品の価格は値上がりし、ヒエンさんだけでなく周りの隣人たちも大変な苦境に立たされている。
ニュー・ディン・カンさん(26歳)も、家賃が100%無料になったと聞いて喜びをあらわにした。カンさんはフリーランサーで、今月は全く仕事が無かったそうだ。「お金もなくて、毎日の食費を捻出するのさえ難しい状況でした。ラッキーなことに家主のハンさんが家賃を免除してくれたので、多少は楽になれます。実は、去年の社会隔離の時もハンさんは、家賃を2か月連続で50%にしてくれたんですよ」とカンさんは話す。
ハンさんは、2015年から賃貸業を営んでおり、現在ではタンフー区とタンビン区の5ヶ所で180室の下宿を保有している。ハンさんの物件は、長年にわたって多くの家族や、故郷を離れて暮らす貧しい人たちの拠り所となってきたのだ。毎月銀行に借金の原本と利息を返済しなければならないハンさんにとって、180室の家賃を無料にすることで失う収入は決して小さくない。
今回の感染拡大の際に、ハンさんと従業員は、知り合いを誘ってタンフー区の隔離地区にボランティアで食事を提供したり、生活必需品を配ったりした。他にもハンさんはボランティアチームと一緒になって、多くの場所で困っている人たちへ向けたボランティア活動をおこなっている。
「困っている人たちの助けになることは私の喜びです。皆が手を取りあえば、きっとこの困難も乗り越えられます」とハンさんは話してくれた。
出典:21/07/20021- SGGP
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