3月中旬ごろ、2人の韓国人風の若者がトゥードック市アンフ―エリアの路上で大きな革の財布を持ったままうろうろしていた。時々二人は、高級携帯電話を取り出すそぶりも見せた。
実は彼らは、ホーチミン市刑事課(PC02)の捜査員であり、多くの外国人が1区、7区、およびタオディエンエリアで携帯電話や財布の盗難被害にあっているとの情報を受けて、おとり捜査を展開していたのだ。
ホーチミン市刑事課のチャン・バン・ヒウ中佐は、これらの犯罪は、それほど凶悪な犯罪ではないものの、外国人旅行者や外国人ビジネスマンから見たホーチミン市のイメージと治安状況に悪影響を与える犯罪であり、取り締まる必要あると述べた。
この窃盗団については、充分な情報や物的証拠がなく捜査は難航した。そこで、捜査班は、タオディエン地区に住む被害にあったことのある韓国人男性に協力を依頼した。この男性は、初めは躊躇したものの最終的には説得に応じて捜査に協力してくれることになった。
この男性の証言によると犯行グループは、女装した男で濃い化粧をしており、夜遅くに一人またはペアで行動している。犯行グループはターゲットを見つけると、近づいてきてマッサージに誘う振りをしてポケットから獲物を盗んでバイクで逃げ去るとのことだった。
3月20日の深夜、韓国人のふりをした捜査員2人がタオディエンエリアを歩いていると、スクーターに乗った派手な格好の”女性”が近づいてきた。この”女性”は、英語でマッサージを受けないかと誘いながら近づいてきて、捜査官の身体を撫でた。捜査官が嫌がるそぶりを見せると、何も取らずに走り去ったので、捜査官はその後を追った。
アンフ―エリアにある高級マンションの前で外国人男性が歩いているのを見かけて、この犯人はバイクを止めて、男性をマッサージ誘うように声をかけながら被害者に近づき、ポケットから携帯電話を盗んだ。犯人がバイクに乗って逃げたところで、捜査官が犯人を取り押さえた。
逮捕されたのは、カントー市出身のグエン・タン・タイ(33歳・男性)。後の捜査によって、犯行グループには他に30代から20代の4人の仲間がおり、全員が女装した男だったことが判明した。5人は、犯行時にはそれぞれ役割分担をおこない、一人または2人のグループに分かれて犯行に及んでいた。
警察の調べに対してタイ容疑者は、3月3日と15日にトゥードック市と7区で携帯電話2台を盗み、2000万ドンで売却したことを自白した。
タイ容疑者が逮捕されたことを知って、犯行グループの他の4人のメンバーは、捜査の目から逃れるため2か月近く潜伏した。5月14日になって、メンバーのうち2人が1区リー・トゥー・チョン通りで酔っ払って歩ていた韓国人男性を見かけて後をつけた。二人は、韓国人男性に近づき体を撫でながら遊びに行こうと誘い、携帯電話を盗み出すと逃げ出したが、すぐに捜査官に捕まった。
逮捕された2人は、これまでに窃盗の罪で4回、麻薬の不法所持で2回有罪判決を受けていたことが判った。調べに対して2人は、タオディエンエリアと1区で2回窃盗事件を起こし、2150万VNDを得たと供述した。警察は2人の証言を基に捜査を進め、残りの2人も逮捕した。
外国人をターゲットにしたこの犯行グループは、これまでに多くの犯罪を犯してきたとみられるが、自白したのは10件の盗難事件(全て被害者が特定されている)のみだった。警察は、盗難品の一部を回収し、被害者に返却した。
出典:11/06/2021 VNEXPRESS
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