スタンダードチャータード銀行は、2022年のベトナムのインフレ率が国会で提案された目標値の4%を超え、翌年には更にインフレ率が上昇するとの見通しを公表した。
これは、最近になってスタンダードチャータード銀行が発表したベトナムのマクロ経済報告書に記載された内容の一部だ。このインフレ率の見通しは昨年の1.84%から大きく上昇している。地政学的な緊張関係による供給への不安は、インフレを加速させるリスクをもたらす。一方で、2月中旬のHSBCの予測では、2022年のベトナムのインフレ率は3%を超えないとの楽観的な見通しを示している。これは、政府目標の4%よりも更に低い数字だ。
スタンダードチャータード銀行は、ベトナムのインフレ率は来年さらに上昇し5.5%に達すると予測している。この件について、スタンダードチャータード銀行は、中期的に経済が回復する時に需要が増加しインフレに影響を与えると説明している。
インフレ率についての楽観できない予測の一方で、スタンダードチャータード銀行は、ベトナムの経済指標が全体的に改善しているとして、2022年のベトナムのGDP成長率を6.7%と予測している。
スタンダードチャータード銀行では、内需と観光業が大幅に回復することで、2022年第2四半期の終わりごろには経済が力強く回復すると評価している。しかし、短期的には観光業の回復とCOVID-19感染拡大には依然としてリスクも残されている。
ベトナム政府は、3月中旬から海外からの訪問者に対する隔離措置を解除した。スタンダードチャータード銀行のタイとベトナムを担当するエコノミストのティム・リーラハファン氏は、海外からの入国者に対する隔離免除によって、COVID-19によって2年間閉鎖された後の、観光業の回復状況を第2四半期に注意深く監視し、評価する必要があると指摘する。
ベトナムドンについて、同銀行は前向きな評価を維持している。今後物価が上昇するとしても、観光業が回復すれば今年もベトナムの経常収支は黒字化する見通しだ。同銀行では2022年末にはUSD/VNDの為替レートが1USDあたり2万2300VNDとなり、2023年末には2万2000VNDに達すると予測している。
外国直接投資(FDI)について、スタンダードチャータード銀行の専門家は、ベトナムはCOVID-19感染拡大や地政学的な緊張といった問題がありながらも、依然としてグローバルサプライチェーンの重要な一部であり、製造業の中心拠点であり続けると評価している。
FDIは、2021年に減少したものの、2022年に入ってから増加し始めている。スタンダードチャータード銀行は、特に発電、ガソリン、空調設備といった分野で、今後も海外投資が増加すると予測している。
ベトナムがグローバルサプライチェーンに貢献するために、引き続き外国投資が主要な原動力になるとみられている。世界的な大企業がここ数年、サプライチェーンの多様化を目的に生産拠点を中国からベトナムに移したり、移転を計画したりしている。
「ベトナムは、今後も電子部品、縫製、皮革製品などの製造の中心拠点になるでしょう。」とティム・リーラハファン氏は話す。
出典:12/04/2022 VNEXPRESS
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