国別のブランド選択において、日系ブランドと韓国系ブランドを求めるベトナム人の価値観に、違いがあることはご存じだろうか? 今回は、2016年の弊社自主調査(Asia Insight Research)300サンプルから、自動車における日系ブランドと韓国ブランドの購入意向者を分析した。
今回の統計手法では、販売促進向けによく使われる「CHAID分析」を活用した。分析結果としては、日系ブランド購入意向者と一番相関の高い価値観項目は、「Time for Hobby」(趣味を大事にする)であった。この価値観を持つ人の中で、続いて相関の高い価値観項目は「Status and fame」(地位や名声)であり、その後の価値観項目で相関の高いものは特にない。
一方、韓国ブランドで一番相関の高い価値観項目は「Not like Everyone else」(他人とは違う)。日系ブランド同様に、続いては「Status and fame」(地位や名声)、その次は「社会階層の中間層」(SEC B以下)であり、こちらもその後の価値観項目で相関の高いものは特にない。
このようにベトナム人自動車購入意向者の共通価値観は「地位や名声」が主軸となり、日系ブランド向けには「趣味を大事にする」、韓国ブランド向けには「中間層向け」への「他人とは違う」がコミュニケーション戦略として重要キーワードになる。例えば、「地位や名声」ということである程度の高級感を持たせ、日系ブランドでは色々な趣味で使えるSUV、韓国系ブランドでは個性が際立つようなハッチバックなどが人気になるかもしれない。
このように成長期のベトナム市場において、多様なライフスタイルが増える中では、「価値観で斬る」マーケティングが差別化となりうるだろう。