ハノイに住むゴック・タインさん(27歳)は、旅行や出張で滞在したミニホテルのコンセントに隠しカメラが設置されているのを発見して戸惑ったと話す。
イベント会社という仕事の性質上、タインさんはよく地方に出張する。ある中部地方のホテルに滞在していたとき、一緒にいた同僚がコンセントの横に小さな隠しカメラが設置されているのを偶然見つけた。調べてみると、2つの部屋で同様のカメラが発見され、どのカメラもベッドに向けて設置されていた。
ホテルの担当者は「その前に滞在したゲストの誰かが設置した可能性がある」と説明した。タインさんは、このことがあってからチェックインしてから部屋の中に隠しカメラが仕掛けられていないか毎回入念にチェックするようになった。
盗撮は今に始まった問題ではないが、4月30日の連休が近づく中で、関心が集まっている。一部のSNSグループ上では、会員同士が隠しカメラを発見した経験などについて経験を共有している。最近は、隠しカメラや位置追跡ツールなどが簡単に入手できるようになっており、彼らの不安も根拠のない話ではない。
隠しカメラの擬態
ネットワークセキュリティテクノロジーが専門のNCS社のブー・ゴック・ソン技術部長は、このようなデバイスには様々な形状と機能があり、殆どが中国製だと説明する。一般的に、品質はそれほど高くなく非常に小さいサイズで肉眼で発見するのは難しい。通常このようなデバイスは、室内にある警報装置、コンセント、スイッチ、充電器、時計などの備品に偽装されてたり、組み込まれていたりする。
多くの場合、カメラには遠隔操作機能があるので、犯人は直接デバイスに触れなくても、室内の画像を見ることができる。メモリカードが必要な一部のタイプでも、約1週間分のデータを保存することができる。このようなモジュールは一般に販売されており、悪意のある人間が簡単に購入して家電製品などに取り付けることができる。
また、最近では有名メーカーの製品を模倣したデバイスも登場している。ハノイ市内で監視カメラを販売しているレ・タイン・ギーさんは、例としてWifiルーターに偽装され、内部に高解像度のカメラと遠隔操作のソフトが組み込まれている商品が300万VNDで販売されていると教えてくれた。
「一般に普及している設備に偽装する手口が最近でてきており、いくら注意していても発見するのが困難になっています」とブー氏は話す。
隠しカメラを探す方法
ブー氏によれば、犯人の標的は通常、公共エリア、トイレ、試着室、ミニホテルなどだ。「カメラが設置されやすい火災報知器、コンセント、照明、ファン、鉢植えなどを肉眼でよく観察してみましょう。特に盗撮されたくないエリアが見える位置に小さな黒い点がないか注意深く観察してください」とブー氏は話す。
一方、ソン技術部長はスマートフォンを使って隠しカメラを探すことも可能だと話す。部屋の電気を全て消してスマホのカメラを起動して部屋の各場所をゆっくりとスキャンさせる。もし、画面に赤や紫色の小さな光点が写ったら、隠しカメラから発せられている赤外線の可能性が非常に高い。また、場合によっては隠しカメラが発する電磁波によってスマホから音が鳴ることがある。さらに、iPhoneやアンドロイドのHidden Camera Detectorという無料アプリを使えば、隠しカメラを発見できる可能性がある。
赤外線や無線電波を検知する仕組みを利用した隠しカメラ検知器も市場に出回っている。多くの場合、カメラと共に記録装置と追跡装置も検出可能で、販売価格は大体50万VND程度だ。
ベトナムでは、何らかの設備を使用して他人を監視する行為は違法とされている。ホーチミン市弁護士会のハー・ハイ弁護士よれば、ベトナムでは個人情報を保護するために多くの法令が発行されており、悪意を持って隠しカメラ、録音装置、位置特定デバイスなどを輸送、販売、使用する行為が禁じられている。例えば、2020年3月にハノイ市の警察は、被害者に対して隠しカメラで撮影された猥褻な画像を拡散されたくなければ3000万VND(約17万円)を支払えと脅迫したチン・コン・リン容疑者一味を逮捕している。この事件の前に、この一味はオンラインで隠しカメラを購入し、数か所のミニホテルやモーテルで扇風機やテレビがベッドの方向を向いている部屋を選んで隠しカメラを設置し、部屋に入った人の行為を隠し撮りしていた。
出典:12/04/2022 VNEXPRESS
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