大雨によってベトナム南部ドンナイ省のニョンチャック3工業団地の排水システムに負荷がかかり過ぎたことで、急峻な地形から鉄砲水が発生し、周辺の住宅街に大きな被害をもたらした。
6月4日の午後にドンナイ省で2時間以上大雨が続き、鉄砲水が発生して滝のように流れ、ニョンチャック県ヒエップフック村に住む数十世帯の住民の家屋や財産に被害が出た。また周辺の舗装道路も500m以上にわたって損傷した。
ヒエップフック村人民委員会のチャン・バン・ハー主席は、この地域の地形は傾斜がかなりきついと話す。雨季になるとニョンチャック3工業団地周辺の住宅地と道路の一部で洪水が発生することは珍しくない。しかし、このような深刻な被害をもたらすほどの鉄砲水が発生したのは今回が初めてのことだ。
現地調査団に参加したドンナイ省気象観測センターのグエン・フック・フイ所長は、今回の鉄砲水が急峻な地形から発生したことを確認した。鉄砲水が発生した当時のロンタイン県とニョンチャック県にある観測所で計測された雨量は100~120㎜だった。この雨量は雨季にこの地域で観測される雨量としては平均的で、この雨量で突然鉄砲水が発生するとは考えにくい。
フイ所長は今回の鉄砲水が発生した主な原因は、住宅地域との境界にあるニョンチャック工業団地側の高さ4~5m、長さ約30mの壁が崩壊したことにあると述べた。大雨による大量の雨水が長時間にわたり工業団地内に停滞し、水位が上昇した後で一気に放出されて住宅街に流れ込んだとみられている。調査団によれば工業団地の地形は近隣の住宅より1mほど高くなっており、今回被害が発生した100~200mほど離れた住宅街とは3m近い高低差があった。
「これほどの高低差があると噴き出した水は猛烈な勢いになり、周辺住民の家屋や財産に損害を与えるほどの大規模な洪水を引き起こしたと考えられます」とフイ所長は述べた。同様の事故が起きないようにするため、当局は工業団地の廃水処理プロセスを検査し、問題点があれば新たな排水管を設置するなどの対処を検討する必要がある。
ニョンチャック3工業団地の幹部は、問題が発生した廃水システムと崩壊した壁はフンギエップ・フォルモサ社の管理下にあると述べた。事故発生後にこの会社は、関係機関と協力して被害を受けた住宅を訪問し支援を申し出る一方で、事故の原因と解決策を探るとしている。
出典:05/06/2023 VNEXPRESS
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