複数の企業が電力不足によって日中工場が稼働できず、従業員の仕事がなくなり、製品の納期に支障が出ている。
バクニン省で従業員2000人規模の消費財メーカーは、先週停電の通知(日によって1~10時間)を受け取ったと話す。
「発電機はありますが、一部の生産活動とオフィスを維持することしかできず、全体の生産規模を維持することはできません」とこの企業の担当者は話す。長時間停電となった日には、企業は労働者に休暇を与え、仕事を別日に振り替えざるを得なかった。
この会社だけでなく、ここ数日、バクニン省のクエボー工業団地やハノイ市のタンロン工業団地に入居している多くの企業が電力会社から6月5日から6日にかけて24時間の計画停電の通知を受けて、生産計画の調整を余儀なくされた。
バクニン省工業団地管理委員会の幹部は、多くの企業が停電により生産活動が停止したために、従業員に仕事を与えられなくなっていることについて不満の声を上げていると述べた。
バクザン省でもバンチュン工業団地に入居する多くの企業が6月3日の午前7:30から6月4日の午前7:30までの24時間停電を突然通知された。
数時間や一日中繰り返される停電は、企業の生産活動に深刻な影響を与えている。APP社のホアン・アイン・ズン社長は、工場への送電網が6時間停電するとの通知を受けて、従業員を休ませざるを得なかったと話す。
「当社の製造工程は通常18時間かかります。原材料を加熱して液化させている状態で停電すると再び固形化してしまいます。生産コストは非常に高く、この損失は誰が負担してくれるのでしょうか?」とズン社長は話す。
バクニン省で2か所の工場を運営しているある企業は、停電によって既に深刻な被害が発生していると述べた。「電力不足によって工場の稼働が朝から晩まで停まり、従業員には仕事が無くなり、納期にも影響が出ています」とこの会社の関係者は話す。
ある製造業協会の代表者は、工場の再稼働プロセスは非常に複雑で、製品の品質に影響を与える可能性があると話す。「突然停電した場合、誰が損害を補償してくれるのか、救済の仕組みが全くありません 」と、この代表者は話す。
製造業の場合、発電機を使用しても問題は残る。工場設備の消費電力は500~700kVと非常に大きく、ノーマルな発電機ですべてを補うことは難しい。しかし、大容量発電機への投資には、多大なコストがかかる。
製造業だけでなく、サービス業や観光業も影響を受けている。理髪店チェーンの30 Shineを経営しているホアン・バン・ダイ社長は、同チェーンが北部の停電によって多大な影響を受けていると話す。「先日は、日中断続的に8時間の停電となり、殆ど営業できませんでした」とダイ社長は話す。
その後、停電計画が事前に通知されるようになってこのヘアサロンチェーンは、何とか対応できるようになったが、今度はコストの問題が持ち上がってきた。「最近ではクアンニン省での発電機のレンタル費用は2500万VNDかかります。それでもこの価格は知り合いからのレンタルだったので割安にしてもらったほうです」とダイ社長は話す。通常であれば発電機のレンタル需要はそれほど高くないので、突発的な事故の際の1日の発電機レンタル料金は1200万~1600万VND程度に過ぎない。
「発電機は顧客を維持するための投資ですが、使用した日は利益が無いどころか赤字です」とダイ社長は付け加えた。そのため、ダイ社長は、この電力不足状況は一時的なものであることを願っている。もしこの状況が長引けば企業はコスト的に耐え切れなくなる可能性がある。
現在の電力業界の困難な状況を共有する一方で、各企業は電力削減計画は企業の生産活動を最優先に検討すべきだと指摘する。
北部を中心とした全国的な電力不足を背景に北部地域では電力負荷削減案が提案されている。4月末にEVNは乾季に北部で1600~4900MWの電力が不足する可能性があるとの予測を発表した。それから1ヶ月以上が経過して電力状況はさらにひっ迫してきており、国家電力供給センター(A0)の試算によれば、ベトナム北部は最悪の場合、以前の予測から60%も多い8000MWの電力不足となる可能性がある。
そのためA0は、国の電力システムの電力供給停止レベルを北部の電力不足状況に合わせて最大8000MWから1万5000MWへ引き上げることを提案している。このうち最も電力供給停止レベルが大きいのはハノイ市とホーチミン市の4100MWとなっている。
異常気象、少雨、水力発電用ダム水位の低下によって多くの貯水池で下限水位を下回っている。一方で、市民や企業の電力需要は高まっており、日によっては例年より30~40%も高くなっている。
北部のダムの水位が下限を下回ると、このエリアの発電量が2500~2800WM減少し、北部の電力供給に影響を与える。
現在、工業団地や輸出加工区を中心に製造や事業活動へ優先的に電力を供給するために電力会社と地方自治体が試算をおこなっている。6月6日からバクザン省は日中の午前7:45から17:00までは製造拠点へ優先的に電力を供給し、夜間は生活用電力を供給することを決めた。短納期の注文を受けている工業団地内の企業は工業団地管理委員会に登録することで0:00~5:00の電力供給を受けることができる。
工業団地外にあって一般世帯と電力網を共有している工場の場合は、電力会社が具体的な状況を調査したうえで、各工場ごとに適切な対応策を検討する。この電力供給体制はまず20日間実施され、その後は状況に応じて調整される予定だ。
同様にクアンニン省も工場やホテルへ優先的に電力を供給する方法を検討している。
EVNによれば、この時期の現在の発電戦略は、水力発電ダムの水位を極力維持し、徐々に水位を上昇させるために、石炭、石油、ガスによる火力発電と再生可能エネルギーの運用を最大限維持するとされている。
電力業界は節電に加えて、消費者に対して電力ピーク時間帯の使用を調整し、負荷軽減プログラム(DR)に参加するよう呼び掛けている。現在、約11000社の法人顧客がこのプログラムに参加しており、1日あたりの電力消費量の2.5%に相当する2000万kWhの節電効果が見込まれている。
出典:06/06/2023 VNEXPRESS
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