8月11日、ハノイの多くの地域が霧に包まれ、一部の地域では大気汚染指数が”極めて健康に良くない”とされる200を超えた。
大気汚染観測アプリAirvisualによれば、今朝のハノイの大気質指数(AQI)は、”健康に良くない”とされる159で、市民の健康に有害で屋外での活動を制限すべきレベルだった。また、ハノイ市内の一部地域ではAQIが極めて健康に良くないとされる200を超えた。
ベトナムの63省と市をカバーする大気汚染監視システムPAM Airも多くの地点で健康に有害であるレッドゾーン(AQI:151~200)を記録した。さらに、コウザイ区のハノイ国家大学、ハイバーチュン区のミンカイ通り、バーディン区の、ザンボー通りでは非常に有害とされるパープルゾーン(AQI:201~300)が記録された。
また、ハノイのPM2.5指数は50μg/㎥前後で推移しており、世界保健機構(WHO)の推奨する濃度基準(5μg/㎥)の10倍となった。
PM2.5とは大気中に浮遊する微粒子のうち、粒子径が概ね2.5µm以下のもので、空気中の濃度が高くなると霧のように視界が悪くなる。
国立気象予防センターの担当者によれば、8月10日の夜から11日の朝にかけて北部で小雨が降り続き、空気中に大量の湿度が残されたことが今朝の霧の原因とのことだ。
ベトナム空気清浄ネットワークのホアン・ズーン・トゥン会長は、ハノイの大気汚染は長年にわたる深刻な問題で、その原因は、交通、産業、建設、市民生活など多岐にわたっている。
ハノイの大気汚染のピークは例年10月から3月にかけて集中する。夏になると晴天で風が吹き、スコールがくることで空気が拡散される。冬になると風が吹かなくなり、曇り空が多く湿度の高い日が続き、汚染物質が拡散されずに滞留し、大気汚染が長期間続く。そのため、トゥン会長によれば、この時期に大気汚染指数がこれほど高くなることは珍しく、恐らく湿度が高く霧が発生し、風が吹かないことで雨が降っても汚染物質があまり拡散しなかったのが原因だろうと分析する。
ハノイ医科大学病院の呼吸器科に勤めるレ・ホアン医師は、今回の大気汚染指数が健康に及ぼす影響について、高齢者、子供、妊婦、呼吸器疾患のある人などは、体調を崩す恐れがあるとして注意を喚起する。なかでも喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性副鼻腔炎などの疾患を持つ人は特に注意が必要だ。
PM2.5 の微細粒子が肺の奥深くまで侵入し、炎症や呼吸器疾患を引き起こす可能性がある。また、微細粒子が血管を通って臓器に到達して炎症を引き起こし、様々な疾患を引き起こすこともある。
大気汚染の影響を予防するために専門家は、清潔な食事をとり、鼻やのどを清潔に保つようにアドバイスする。外出する際はマスクを着用し、ラッシュアワーの通行や工業団地など汚染地域への出入りを控えるのも有効だ。また、健康のために適度な運動をおこない、帰宅時には手を洗って、水分を十分に補給する。
抵抗力が弱く耳鼻咽喉系のアレルギーがある子供は、栄養価の高い食事をとり、水分を補給し、埃や煙の多い場所へは行かないようにする。また、肉、魚、卵、穀類、低脂肪乳製品、ビタミンCが豊富なオレンジジュースやレモン、スイカなどをバランスよく摂取する必要がある。
WHOは大気汚染を”サイレントキラー”と呼んでいる。肺がんによる死者の約30%に大気汚染が関連しているとされている。さらに呼吸器疾患についても大きな影響があり、呼吸器疾患による死者の43%は、大気汚染に関連しているともいわれている。
出典:11/08/2023 VNEXPRESS
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