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ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想第61回
Zensho Vietnam

2016年7月、牛丼チェーン「すき家」の1号店をホーチミン市に開店したゼンショーベトナム。新メニューを提供しながら店舗を拡大してきた平田智有社長は、将来は200店舗出店も夢ではないと語る。

新商品が定番メニューに昇格

―― 「すき家」のベトナム進出について教えてください。

平田 ゼンショーホールディングスは「すき家」の世界展開を進めており、中国、台湾、香港、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、ブラジル、メキシコ、そしてベトナムに合計で約460店舗を出店しています。

 ベトナムは2016年1月に現地法人のゼンショーベトナムを設立し、7月にホーチミン市に1号店をオープンしました。現在はホーチミン市に16店舗、ビンズン省に2店舗の計18店舗があり、今年8月にホーチミン市でLotte Mart Go Vap店を開店したばかりです。

 ベトナムに進出した理由は、日本と同じコメ文化であること、2011年に進出した隣国タイでのチェーン展開の成功、1億人に近い若い人口、100%外資系企業の外食産業参入が2015年1月に認められたことも大きいです。

 海外での合弁事業はパートナー企業と足並みが揃わないこともあり、良いタイミングとの判断でした。

―― メニューがとても豊富で、色々な料理がありますね。

平田 最初に考えたのは和食をアピールすることでした。日本では誰もが知る牛丼もベトナムでは馴染みが薄いので、和食の定番であるラーメンとカレーをメニューに加えました。

 ベトナムの商品に使用する食材の多くは現地で調達しているため、厳密には全く同じではないのですが、牛丼は日本の味をそのまま踏襲しています。一方、ラーメンとカレーは味付けをベトナム人の好みに合わせました。

 一番売れている商品はベトナムに浸透してきた牛丼で、単品ではなくセットメニューのご注文が多いです。東南アジアのお客様はドリンクとのセットが好きですし、ベトナムは若くて元気な方が多いので、たくさんの食事を召し上がっていただいています。

 牛丼のセットメニューで10万VND以下という価格帯もあってか、客層の中心は20代のベトナム人で、男性より女性のほうが多いです。1人より複数でのご来店が中心です。このようにお客様の約9割はベトナム人で、我々もベトナム人をメインターゲットとしています。

―― 定番のメニューと共に季節的な新商品も見かけます。

平田 メニューには定番の「グランドメニュー」と、1~2ヶ月など期間限定の「スポット」があります。後者が新商品です。

 新商品開発には大きく2つの方法があります。各国の情報を収集している日本の専門部署が日本や海外の人気メニューを提案する場合と、こちらから提案する場合です。前者ではそのメニューをベトナムで再現するのですが、ここから生まれるスポットが多くあります。

 これまでの代表的な商品は、タイで人気の唐辛子の辛みが効いた「チリドラゴンラーメン」、シンガポールからは脂の乗った鮭を使った「照り焼きサーモン丼」、中国での人気商品「うな丼」などです。照り焼きサーモン丼とうな丼はベトナムでも好評で、グランドメニューに昇格しました。

 人気となる理由は、当たり前かもしれませんが味と値段でしょう。ベトナムで15万VND以下でうな丼を食べられる店は少ないでしょうし、照り焼きサーモン丼も似た価格帯で提供しています。

出店加速、後に北部へ

―― スタッフ教育はどのようにされていますか?

平田 教育や研修の内容は基本的に日本と同じです。ただ、文化が違うのでベトナム人であることを尊重しています。日本人と比べると時間の感覚が緩く、悩んだ時期もありました。

 そこで、最初は教えるというより背中で見せる方法に変えました。1号店では私もユニフォームを着て接客を担当して、その仕事振りを見てもらったのです。

 ベトナム赴任は2016年4月の予定でしたが、この4月に熊本地震が起こり、現地の店舗を復旧するために熊本県に急遽派遣されました。そのため赴任が5月にずれ込んだのですが、1号店のオープンは7月1日と決定していました。平日はベトナムで仕事を進め、土日はタイやインドネシアの「すき家」に行って海外店舗のオペレーションを学ぶ日々でした。

 1号店オープン後も忙しい日々を送っていましたが、私が率先して仕事を見せたことが好結果につながったようです。その時のメンバーが今では全店舗を見るブロックマネジャーや、地域単位のエリアマネジャーに成長しています。

―― 今後の予定や計画を教えてください。

平田 メニューについては半年程度先まで考えています。スポットの新商品以外では、グランドメニューの入替えもあります。例えば、過去の人気商品で一旦販売を終了していた、「カツとじ丼」を復活させようと考えています。

 店舗ももっと増やす計画です。1号店開店から7年が経ち18店舗を展開していますが、決して遅いペースではありません。来年3月までの新店出店や、その後の北部への進出も視野に入れています。

 私は外食産業の海外事業は情報を早くつかむこと、情報に敏感になることが大切だと考えています。新店舗のための不動産情報、飲食業界での新業態、繁盛店の人気メニューなどで、こうした情報をもとに事業を進めればまだまだ店舗数は伸びると思っています。

―― 将来は何店舗まで可能性があると思いますか?

平田 将来を見据えたベトナムでの目標は2つあります。ひとつはチェーン展開で、「すき家」は日本に約2000店舗あります。ベトナムの国土は日本とほぼ同じで、人口も1億人を超えて日本に近づいていますから、個人所得やGDPなど異なる要素は多くても、200店舗は必ず出店できると考えています。

 もうひとつの目標はゼンショーの別業態の進出です。実際にマレーシアでは「すき家」以外にラーメン、韓国料理、チキンライスを、シンガポールではラーメンやチキンライスなどを展開しています。

 業態は寿司、イタリアン、ファミレスなど様々な候補が考えられますので、どのような業態が適しているかをこれからじっくりと考えます。

平田智有 Tomoari Hirata
大学卒業後にゼンショー(現ゼンショーホールディングス)に入社。日本各地のすき家の様々なマネジャー職を経験後、2013年に東京地域のゼネラルマネジャーに。北日本すき家(当時)のゼネラルマネジャーを経て、2016年5月よりZensho Vietnamディレクター。2018年4月より現職。