輸出先を多角化、だが競争激化と収益低下に直面
米中貿易摩擦が最大輸出先を脅かす
米中間の貿易摩擦が再び激化する中、中国の製造業者たちは国内外で新たな顧客を急ピッチで開拓している。2024年以降、中国の対米輸出は大幅に減少し、代替市場へのシフトが進んでいる。
英紙『フィナンシャル・タイムズ』が6月22日に報じたところによると、最近の貿易統計では中国の欧州および東南アジア向け輸出に増加傾向が見られる。一方で、価格競争の激化や国内市場での利益率の低さなど、新たな課題も浮き彫りとなっている。
欧州・東南アジアへ輸出拡大も道のり険しく
2025年5月の統計によれば、中国の対欧州輸出は前年比12%増を記録し、特にドイツ向けは22%増と大きく伸びた。ベトナム、インドネシア、フィリピンといった東南アジア諸国への輸出も15%の増加を示している。
中国第2の輸出拠点である浙江省では、多くの企業が米国依存からの脱却を急いでいる。アウトドア用コンロを製造する紹興蘇隆戸外科技の管理者である夏淑坤氏は、「これまでは主にアジアとアメリカ向けに輸出していたが、今後は欧州市場を開拓したい」と語った。
同様の動きは、ネイル用UVライトを製造する紹興上虞麗華電子科技でも見られる。同社の陳澤新氏によると、米国への輸出比率は昨年の60%から本年は30%まで低下し、国内市場へと軸足を移しているという。ただし、国内では利益率が大幅に低いため、オンライン販売や中東・欧州市場への進出も模索している。
ラスベガスで成果乏しく、企業は方向転換
2025年3月にラスベガスで開催された貿易展示会に出展した電動工具メーカーKimoは、「トランプ大統領による20%の追加関税が発動された段階で、新規顧客の獲得にはほとんどつながらなかった」と述べた。
同社はその後、より安定的とされる欧州、ロシア、東南アジア市場へのシフトを決断した。
市場競争が激化、利益圧迫の波
中国企業が米国市場から撤退し、相次いで欧州市場へ参入する中、過当競争が顕在化している。供給過多により、買い手側にとっては「選択肢が多すぎる」状況となり、販売価格が圧迫されている。
海水浴用パラソルを製造し、LidlやIKEAなどに納品しているEwing Tourism Productsの創業者ヴェラ・ウー氏は、「今年はこれまでで最も厳しい年になっている」と語った。彼女の会社も、米国向け輸出を主力としていた中国企業との競争に直面している。
かつて「ベアリングの都」と呼ばれた慈渓市では、トランプ政権による25%関税の影響で複数の工場が閉鎖に追い込まれた。しかし、現在ではインドネシアやフィリピンからの新規注文によって再建の兆しが見えている。
「米中関係はもはや不安定すぎるので、東南アジアで新たな顧客を見つけたい」と、ある工場管理者は語り、「アメリカ市場に未練はない」とまで述べた。
EUも警戒、中国製品の大量流入に対応検討
一方、欧州連合(EU)も中国製品の急増に神経をとがらせている。欧州委員会は、ギターから産業用ロボットまで幅広い分野で中国製品の流入が急増していると報告している。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、カナダで開催されたG7サミットで「中国からの新たなショックを目の当たりにしている」と警戒感を示した。
「中国経済が減速する中、国内で吸収しきれない余剰生産品が世界市場にあふれかえっており、補助金によって価格がゆがめられている」とライエン委員長は述べている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN
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