今週、ハノイ市でオンライン形式で開催されるASEANサミット会議において、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が締結される予定だ。
この条約が締結されれば、ベトナムが他国とオンラインで自由貿易協定(FAT)を締結する、初めてのケースになる。
巨大市場参入へのチャンス
最近タイで行われたRCEPの交渉内容を見る限り、インド加盟の有無にかかわらず今年中に締結され、2021年から発効するとみられている。
RCEPは域内のサプライチェーンと生産拠点の関係を強化し、投資と貿易の拡大を支援することで、COVID-19収束後の経済回復を大きく後押しすると期待されている。
RCEP締結がもたらすベトナム企業の課題とチャンスに関するベトナム商工会議所(VCCI)のレポートでは、RCEPは中国を含む大規模な人口を抱え、世界GDPの30%(主に日本と中国)、世界貿易額の28%を占める巨大市場であると強調されている。
貿易面から考えるとRCEPへの加入は、ベトナムにとって大きなチャンスである。
VCCI担当者は、RCEPの特徴について次のように語る。
「オーストラリア、日本、ニュージーランドを除くと、RCEP加盟国の市場はそれほど難しい性質ではなく、ベトナムの得意な農産物や加工食品の需要があります。また、RCEPの製造サプライチェーンの特徴は、携帯電話、電子製品、縫製品、履物、加工食品など様々な製品をほぼカバーできている点にあります」
同時に苛烈な競争が始まる
しかし一方でVCCIは、RCEPにはタイ、インドネシア、中国などのベトナムよりも競争力が高く、ベトナムと同様の製品を製造している国が多数存在しているとも警告している。
ASEANは加盟国同士でAFTAと呼ばれる自由貿易協定を締結しおり、ベトナムはさらに日本、韓国などとも独自に二国間協定を締結している。
このように多くの貿易協定を締結している中で、さらにRCEPに加盟するベトナムのメリットは何だろうか?
ベトナムの経済専門家は、多くの国と自由貿易協定を結ぶことはベトナムにメリットがあると説明する。
「まず第一にベトナムの製品が世界の様々な場所に存在するようになり、ビジネス、政治経済、環境など様々な面から他国とネットワークを構築できる可能性が高まります。
次にベトナム企業が各国の市場に参加することで経験値が高まり、様々な状況により適切に対応できるようになります。最後にRCEPには、世界最大規模の消費市場である中国が参加しています」
サービス業の制限解除に注意
しかし、RCEPの罠に注意する必要があるという意見も多く聞かれる。ホーチミン市経済大学のブー・クオック・チン教授は次のように分析する。
「RCEPは商品の輸出、関税障壁の撤廃、税関改革だけでなく、加盟国による通信サービス、金融サービス、ロジスティクスサービス、Eコマースなどの分野で自由な投資を認める包括的な協定であり、その中には中国が含まれています」
「EVFTAとCPTPPは、ベトナムの得意とする輸出品に大きな輸出市場をもたらしました。これら2つのFTAは比較的難易度の高い市場が対象なので、ベトナム企業は自らを改善し、製品の品質を向上させることができました。
しかし、RCEPは対象となる市場は巨大ですが、競合製品も多く存在しており、ベトナムの強みを生かせません。さらにRCEPによる通信、Eコマース、金融などのサービス業に対する規制緩和は、ベトナムにとって大きな課題となります。
ベトナムはインダストリー4.0を標榜し、Eコマース業界は発展していますが、経験がまだ浅く、外国企業との競争にさらさせると全滅してしまう危険性もあります」
出典:10/11/2020 THANH NIEN
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