利用は全体の5%、地域医療の拠点が機能不全
ホーチミン市の統計によると、2025年にホーチミン市内の街区・特区・村に設置された保健ステーション(基礎医療施設)が受け入れた診療件数は約250万件にとどまり、全体の受診件数の約5%にすぎなかった。
同年、ホーチミン市全体の診療・治療件数は5,040万件を超えており、本来「医療システムの入り口」とされる基礎医療施設が、十分に活用されていない実態が浮き彫りとなっている。
患者の受診行動と保健ステーションの受け身姿勢
ホーチミン市保健局の分析によると、多くの市民はいまなお、軽度な疾患であっても保健ステーションを経由せず、直接上位病院を受診する傾向が強い。
この受診行動は、大病院の慢性的な混雑を招くだけでなく、市民自身の医療費や移動時間の増加にもつながっている。
地域に踏み込めない基礎医療の限界
重要な要因の一つとして、保健ステーションの活動が依然として受動的である点が指摘されている。多くの施設では、住民が来院するのを待つ形にとどまり、地域に出向いて健康状態を把握・管理する体制が整っていない。
医療提供は個別対応が中心で、住民の健康を継続的・長期的に見守る仕組みが十分に構築されていないのが現状である。
基礎医療の弱点を認めた党の公式見解
共産党中央政治局の決議72号も、長年にわたる基礎医療の限界を率直に指摘している。初期医療としての役割を十分に果たせていないこと、疾病のスクリーニングや早期発見が不十分であること、そして市民の信頼が十分に確立されていないことが課題として挙げられた。
その結果、予防や早期管理が可能な健康問題が見過ごされ、疾病の発見が遅れるケースが少なくないという。
保健ステーション改革の方向性
こうした状況を踏まえ、ホーチミン市保健局は、保健ステーションの運営モデルを「より主体的な形」へと抜本的に転換する必要があると強調している。
地域密着型「継続的健康管理チーム」構想
提案されているのが、「地域に密着した継続的健康管理チーム」モデルである。このモデルでは、保健ステーションを単なる診療所ではなく、地域住民の初期医療を統括・調整する中核拠点と位置付ける。
各チームは特定の居住エリアを担当し、医師、看護師、公衆衛生職員、地域の健康ボランティアなどで構成される。
ライフステージ別の健康管理へ
チームは、子ども、高齢者、妊婦、慢性疾患患者といった対象ごとに住民の健康状態を把握し、定期的なスクリーニング、予防指導、長期的な治療フォローを行う。
上位医療機関への紹介が必要な場合も、保健ステーションが窓口となり、治療後のフォローアップを担うことで、住民が安心して地域医療に戻れる体制を整える。
デジタル活用で信頼回復を目指す
あわせて、医療ITや電子健康記録の活用により、健康管理の効率化、事務手続きの簡素化、サービスの透明性向上を図る方針である。
ホーチミン市保健局の幹部は、「保健ステーションが身近で、主体的かつ信頼できる存在になれば、市民は生活圏内で安心・低コストの医療サービスを受けられるようになる」と述べている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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