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【健康】変異株のエアロゾル感染力は?

(C)VNEXPRESS

バクザン省のHosiden社の感染者数は、わずか3日で12人から158人に増加し、検査全体の38%が陽性となっている。専門家は、感染拡大スピードが速いのは、ワーカーの労働環境が密閉空間であったことが原因だとみている。

ベトナム保健省のグエン・タン・ロン大臣は、5月10日の全国COVID-19感染防止管理委員会の会議において、「インド型の変異株は、密閉された空間では従来型よりも感染力が強いが、重症化しやすいわけではない」と説明した。ウイルスのゲノム解析の結果、今回の感染拡大では、感染者の殆どのウイルスがインド型の変異株であったことが確認されている。

ロン大臣によればイギリス型の変異株は感染力が1.7倍だが、インド型の変異株はそれよりもさらに感染力が強いとみられている。実際に今回の感染拡大でも、密閉された空間での感染事例では、周辺への感染スピードが非常に速かったことが判っている。クアンチャウ工業団地のHosiden社で発生したクラスターは、その顕著な例である。また、ダナンのアンドン工業団地にあるチューンミン社で発生したクラスターでもコールセンターの33人のオペレーターが感染したが、ダナン感染防止管理委員会は、オペレーターの作業環境が、エアコンをつけた密閉空間であったことが、感染拡大を助長したとみている。

COVID-19 の感染経路

COVID-19の感染経路を分析しているベトナム感染症協会のグエン・ホン・ハー副会長は、ウイルスは飛沫を介して伝染する、つまり病原体は気道から分泌される飛沫の中に存在していると説明する。これは2020年初頭にパンデミックが発生して以降、指摘されてきた感染経路だ。

通常、拡散される飛沫のサイズは5マイクロメートルより大きい。人との距離が1m以内の密接な状態では、ウイルス感染者からの飛沫が健常者の口、鼻、目などに入るとCOVID-19に感染する可能性がある。人との距離を2m以上あけると、大きな飛沫ほど急速に落下していくため健常者に飛沫が届く量が少なくなり、感染力は低下する。一方で、小さな飛沫は、地面に落下するまでに時間がかかり感染スピードが速くなる。

COVID-19ウイルスは、物体の表面を介して間接的に感染することもある。落下した飛沫は、地面に落ちても完全に消えるわけではなく、衣服や物体に付着したまま残る可能性がある。人がこれらの物体の表面に触れ、無意識に鼻、口、目などを触るとウイルスが体内に侵入する。

COVID-19ウイルスは、空気感染することもある。これは、2021年の初めごろに確認された新しい感染経路だ。専門家によると5マイクロメートル以下の飛沫(エアロゾル粒子)は空中に浮遊し続ける。このエアロゾルは非常に小さな液体または固体として存在している。原理的には、この様な微小な粒子は空気中に長時間とどまり、より遠くまで広がることができるので、離れたところにいる人でもこの粒子を吸い込むことで感染する可能性がある。

飛行機、車、病室、会議室、バー、カラオケルームなど換気状態の悪い環境では、これらの小さな飛沫粒子は、室内の空気中に浮遊し続ける。これらの粒子は素早く集積し、タバコの煙と同様に徐々に濃度が高くなり、室内にいる人への感染リスクを高める。

専門誌に掲載されたケンブリッジ大学の研究論文によれば、COVID-19ウイルスは、感染者が近くで話をするだけで、咳やくしゃみをしなくてもすぐに感染する可能性がある。狭い室内では、感染者が30秒間話した後のウイルスを含んだエアロゾルの1時間あたりの室内浮遊量は、感染者が咳を一回するよりも多いことが判っている。

その他の研究でも、COVID-19ウイルスは、4℃で14日間生き続け、紙の表面では3時間、木や衣服の表面では2日間、ガラスやお金の表面だと4日間、鉄やステンレス、プラスチックの表面では7日間生き続けるが、温度が70℃以上になると5分以内に死滅する。懸念されるのは、ごく小さなエアロゾル粒子は、何時間も空気中に滞在し続け、換気の悪い密閉された空間では、濃度が高まりより長く存在し続ける可能性があることだ。

「ディスコ、カラオケ、自動車、飛行機、病室、工業団地などは、密閉された閉鎖的な空間であり、エアロゾル粒子が蓄積するのに適した条件を作り出し、感染を素早く広げることがより容易になる」と専門家は指摘する。

また、COVID-19感染患者の気管支鏡検査、胸部圧迫、喀痰吸引、気管挿管などの医療行為をおこなう医療スタッフは、感染リスクが非常に高くなる。

拡散スピード

COVID-19ウイルスの各変異株はそれぞれ異なる拡散率を持っている。ハー副会長は、ウイルスの伝染スピードは、感染の閾値に依存すると分析している。感染の閾値とは、身体に吸い込むことで感染するのに必要な量のことだ。ウイルスの閾値が低いという事は、ごく少量のウイルスでも感染することを意味し、感染力が非常に高いことになる。

ハー副会長によると、例えば2003年にベトナムでSARSが発生した際に、家族を含め非常に多くの人が患者と接触したが、そこから感染した人はごくわずかであった。SARSの場合、感染者は殆どが換気状態の悪い病院内で広がった。これは、COVID-19の感染拡大スピードとは全く異なる。つまりCOVID-19の感染の閾値は、SARSに比べて非常に低いと推測される。

ハー副会長は次のように説明する。「分かりやすく言えば、SARSの場合、ウイルス量が1000を超えると免疫機能が感染を防ぐことが出来なくなるとすると、COVID-19の場合は、体内に侵入して感染を広げるのに10のウイルスしか必要としないのです。つまりCOVID-19の感染の閾値は非常に低いという事になります」

この閾値は、COVID-19の各種変異株でも同じことが言える。COVID-19の変異株にとって、呼吸器粘膜細胞に侵入して結合するのは非常に簡単な作業である。COVID-19ウイルスは、複数の受信ポイントを備えたシステムにより、容易に体内に潜入することができる。それによって感染力は強くなる。これこそが、インド型の変異株の感染力がイギリス型や南アフリカ型の変異株よりも感染力が強いことを説明する鍵になる。1人の感染者が10人かそれ以上の人に感染させる連鎖を引き起こす。密閉された空間では、インド型の変異株はより強い感染力を持っていることになる。

変異型ウイルスの感染予防

ハー副会長は、変異株が急速に蔓延した場合、感染者が急増することで医療負荷が高まり、重症者と死亡者が増加することは避けられないと分析する。

「COVID-19の患者が重症化するか軽症にとどまるかは、医療体制や患者の既往歴など様々な要因によって異なります。新しい変異株自体が患者を重症化させるという証拠は今のところ見つかっていません」とハー副会長は話す。

現在、ベトナムの検査能力は急速に向上しており、2020年7月のダナンでの感染拡大時点と比べて検査能力は1.7倍となっている。ハー副会長は、長期的に見れば、検査能力の拡充と並行して、換気対策をおこなうことがCOVID-19の感染防止対策として非常に重要であると指摘する。

病院では、外来診療所と病棟が全ての窓と玄関扉を開け、扇風機を設置する必要がある。スーパーマーケット、雑貨店、喫茶店、食堂、画工の教室なども同じ対策が必要だ。集中治療室や救急治療室の場合も換気対策が必要となる。カラオケ、バー、映画館など密閉された空間のサービスは閉鎖し、タクシー、バス、レンタカーでは、窓を開けたうえで換気用のファンを使用する必要がある。

専門家は、今回の感染拡大は、以前のものよりも複雑化しているが、現在の隔離対応と感染源の追跡措置によってベトナムは今回の感染も早期に抑制できるとみている

出典:17/05/2021 VNEXPRESS
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