グエン・ゴック・タムさんは、1年以上前に日本へ労働者として派遣されるために、派遣元企業に費用を支払ったが未だにフライトスケジュールも決まっていない。タムさんは、費用の返金に応じない派遣元機関であるMIKA社の対応が詐欺行為に該当する可能性があるとして警察に告発した。実は、タムさん以外にも40人以上の大学や専門学校を卒業したエンジニアがMIKA社から違法に費用を徴収されたままとなっている。
借金だけが残った
MIKA社に登録する以前、タムさんはゲアン省ヴィン市で働く自動車修理エンジニアだった。現在、タムさんは、ハノイ市で不動産会社の営業マンとして働きながら、日本に行くために借りた借金の返済を続けており、MIKA社に支払った費用の回収に不安を覚えている。
「SNSを通じてMIKA社が日本で働くエンジニアを募集していることを知りました。早速応募したところ2019年5月に試験に合格しました。派遣前の日本語学習を始めるにあたってMIKA社から派遣費用の50%を前払いするように言われました。契約書では、3~6か月以内にMIKA社が海外での仕事に必要な法的書類を準備することが約束されていました。しかし契約期間を過ぎても海外へ行くことが出来なかったため、返金を求めましたが、MIKA社はそれに応じませんでした。私達は、ハノイ市の警察に対してMIKA社を告発しましたが今のところは何も進んでいません」とタムさんは話す。
タムさんによると、MIKA社の本社があった事務所は閉鎖されており、看板が取り外され、代表者の電話番号にも連絡できなくなったという。同社のウェブサイトとFacebookページも機能しなくなり、派遣予定だった労働者たちは、誰に費用の返還を請求すればいいのかすらわからない状態だ。
「私の家族は、日本への派遣費用のために銀行から1億VND近くを借りてくれました。派遣会社に支払った費用を回収するために私はハノイに残って、仕事をしなければなりません。私の人生を変えるという夢はまだかなっていませんが、借金だけが残っており支払った費用を回収する方法も分かりません」とタムさんは嘆息する。
ホアン・バン・フォンさんも、海外労働派遣の広告を見て技術者ビザで韓国で働くために2020年3月にハノイ市の労働派遣企業JAKOに登録した。「出国に必要な費用は1億6400万VNDといわれ全額を支払いました。会社側は2020年9月に出国できる予定だが、もし出国できなかった場合、費用は全額返金すると約束しました。しかし、11月末になっても出国の目途がたたなかったので、派遣会社に行って返金を要求しましたが書類を渡されただけで返金はされませんでした。私は仕事も辞めており子供も2人います。もし会社が返金に応じてくれなければどうやって銀行に借金を返済すればいいのかわかりません」と不安そうに話した。
詐欺容疑での立件も視野に
労働省の海外労働管理局によると、MIKA社もJAKO社も労働省の発給する海外労働者派遣事業ライセンスを取得していない。従ってこれらの企業による労働者の募集や費用の徴収は違法行為にあたる。
海外労働管理局によると、これまでにも海外で働くことを希望する労働者に対して、正規のライセンスを持たない個人や組織が、日本、韓国、オーストラリアなどの魅力的な収入が得られる国で働けるとして、労働者から費用を騙し取るという事件が発生している。海外労働管理局では、海外労働派遣企業を名乗った詐欺行為が横行しているとして、違法行為が疑われる海外労働派遣企業に対して、捜査をおこなうように公安省に対して文書で要請している。
出典:04/01/202 VNEXPRESS
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