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ベトナム、上半期GDP8.18%成長も二桁目標に高い壁 下半期の成長加速策は

ベトナムの2026年上半期の経済成長率と目標との差を示したグラフ

ベトナム経済は2026年上半期にGDP成長率8.18%を記録し、2011年以来で最も高い伸びを達成した。しかし、政府が掲げる年間10%以上の成長目標を実現するためには、下半期に一段の加速が求められる状況となっている。

専門家は、公共投資の執行加速、内需喚起、制度改革を通じて残された成長余地を引き出す必要があると指摘している。

上半期GDPは15年ぶり高水準

7月4日に開催された政府定例会議で、財政省のゴー・バン・トゥアン大臣は、2026年上半期の社会・経済情勢について報告した。

それによると、第2四半期のGDP成長率は前年同期比8.39%、上半期全体では8.18%となり、2011年以降で最高水準となった。

成長を支えたのは工業・建設部門とサービス部門で、両分野が全体成長への寄与の88%以上を占めた。

特に加工・製造業は二桁成長を維持し、引き続き経済のけん引役となっている。

年間10%目標には1.82ポイント不足

もっとも、上半期の実績は政府が描く成長シナリオを下回っている。

財政省によれば、上半期のGDP成長率は目標水準を1.82ポイント下回っており、年間10%以上の成長達成には大きなプレッシャーがかかっている。

背景には、複数の経済指標が期待ほど伸びなかったことがある。

消費の伸びは前年同期を下回り、公共投資の執行も想定ほど進まなかった。特に科学技術分野の投資案件では資金執行の遅れが目立った。

また、6月の貿易赤字は縮小傾向を示したものの、上半期累計では166億5,000万USDに達している。

人材不足も課題として浮上しており、高度人材の供給が需要に追いついていないほか、一部地域では人手不足と労働力余剰が同時に発生している。

公共投資の遅れが成長を抑制

経済成長を押し下げる要因の一つとして、公共投資の執行遅延が指摘されている。

政府は公共投資を景気刺激策の柱と位置付けているが、6月末時点の全国執行率は首相が割り当てた年間計画の25%超にとどまった。

遅れの背景には、

  • 用地取得の難航
  • 建設資材価格の変動
  • 一部地方政府における責任回避姿勢

などがあるという。

さらに、全国34省・市のうち域内総生産(GRDP)が10%を超えた地域はわずか9地域にとどまり、約20の地方は期待水準を下回る成長にとどまった。

専門家は、土地制度などの法的ボトルネックが依然として解消されていないことも地方経済の足かせになっていると分析している。

消費と観光に成長余地

一方で、下半期の成長余地は依然大きいとの見方もある。

工業生産指数(IIP)は上半期に12.7%増加しており、生産活動は堅調に推移している。

また、消費サービス売上高は14.8%増加し、内需も改善傾向を維持している。

経済専門家のグエン・バン・ディエン氏は、約120万人の高校卒業生が大学や短期大学へ進学することで、新生活に伴う支出増加が期待できると指摘する。

さらに夏季は観光シーズンの最盛期であり、年間国内旅行者数は9,000万人を超える見通しとなっている。

外国人観光客数も過去最高ペースで増加しており、旅行・サービス関連消費は下半期の重要な成長要因になるとみられている。

二桁成長へ必要な3つの柱

専門家は、年間二桁成長を達成するためには、三つの政策分野で同時に改革を進める必要があると指摘する。

金融政策の柔軟運営

金融政策では流動性を確保しながらもインフレを抑制し、公開市場操作(OMO)などを通じて経済への資金供給を適切に維持する必要がある。

インフレ率は上半期平均で4.38%となり、国会が設定した4.5%の目標に近づいているため、物価管理の難易度も高まっている。

公共投資の加速

第二の柱は公共投資の執行促進である。

専門家は、小規模案件を整理し、

  • 南北高速鉄道
  • ロンタイン国際空港
  • 高速道路網

など国家的波及効果の高い大型プロジェクトへ資源を集中すべきだと提言している。

政府は経常支出を10~15%削減し、その財源を成長投資や社会保障へ振り向ける方針も示している。

制度改革と行政簡素化

第三の柱は制度改革である。

政府は事前審査中心の行政運営から事後監督型へ移行し、企業活動を妨げる手続きを大胆に削減する方針を打ち出している。

専門家は、企業の投資意欲を引き出し、輸出企業の競争力を高めるためには、行政コストの削減と低コスト資金へのアクセス改善が不可欠だと指摘する。

「小さな改善の積み重ね」が二桁成長への鍵

専門家の間では、年間10%成長は決して不可能ではないとの見方も根強い。

輸出の回復、公共投資の本格化、消費拡大、制度改革など複数の要因が同時に作用すれば、下半期に成長がさらに加速する可能性があるためだ。

ただし、二桁成長は特定の産業や地方だけに依存するものではなく、輸出、投資、消費、インフラ整備など、それぞれの分野が少しずつ伸びることで初めて達成できる目標である。

ベトナム政府にとって2026年は「新時代の最初の年」と位置付けられており、下半期はその成長モデルの実効性が試される局面となりそうだ。

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