ベトナム中南部カインホア省ニャチャン市のルーンソン峠で、道路沿いの崖の縁にテーブルや椅子を設置する露店が相次ぎ、安全面への懸念が高まっている。
同地域は山と海を同時に望める絶景スポットとして人気を集めている一方、過去には崖付近で写真撮影中に転落する事故も発生している。にもかかわらず、観光客らが崖のすぐそばで飲食や写真撮影をする状況が続いている。
崖のすぐそばにテーブルや椅子を設置
9月2日の国慶節休暇中、現地を取材したところ、ルーンソン峠沿いでは複数の露店や軽食店がテーブル、椅子、テントなどを崖の縁近くに設置していた。
ルーンソン峠は全長15km以上に及び、標高は平均60~70m。片側には急峻な山肌、反対側には海が広がる。
山と海の間を縫うように道路が続くことから、ニャチャンを代表する景観道路の一つとして知られ、地元住民や観光客が日常的に景色を眺めたり、運動や写真撮影をしたりする場所となっている。
その一方で、道路脇には安全柵が十分に設置されていない場所もあり、崖の縁まで近づくことができる場所が残されている。
過去には崖からの転落事故も
ルーンソン峠では、崖に近づいたことによる事故が過去にも発生している。
2023年には少なくとも2件の転落事故が確認された。そのうち1件では、写真を撮影するため崖を下りようとした女性が転落し、脚を骨折するなど複数の負傷を負った。
いずれのケースでも、被害者は救助隊によって救出された。
こうした事故が発生しているにもかかわらず、現在も観光客や地元住民が崖の縁まで近づき、写真撮影や飲食をする姿が見られる。
「写真のために命を危険にさらすべきではない」
観光客からも危険性を指摘する声が上がっている。
クアンチ省から訪れた27歳の観光客は、ルーンソン峠について「景色は期待以上に素晴らしい」と評価する一方、崖のすぐそばに設置されたテーブルで飲み物を飲む人々を見て恐怖を感じたと話した。
また、ニャチャン市在住で日常的に峠を自転車で走る29歳の男性も、観光客や住民が安全柵を越えて崖の縁まで出て写真を撮る光景を頻繁に目にすると指摘する。
崖の前には十分な防護柵がない場所もあり、「まるで命を危険にさらしているようだ」と懸念を示した。
露店の増加で衛生・環境問題も
問題は転落事故の危険性だけではない。
峠沿いに自発的な露店が増えたことで、食品衛生や環境への影響も懸念されている。
観光客が集中する時間帯には、店の周辺で飲食する人が増えるほか、バイクや自動車が道路や路肩に無秩序に駐車する状況も発生している。
日常的に排出されるごみも、周辺環境への負荷となっている。
行政も過去に露店の取り締まりを実施
ニャチャン市北部地区当局によると、ルーンソン峠では以前から道路沿いへの露店や店舗の進出が問題となっており、旧ニャチャン市の関係機関が複数回にわたって取り締まりを行ってきた。
危険区域を示す警告看板も一部に設置されている。
しかし、露店の一部は住民が所有する土地で営業しているため、行政による対応が難しい状況にあるという。
現在、危険区域の崖際に立ったり座ったりして写真撮影や「チェックイン」をする行為そのものについて、直接処罰する規定はない。
そのため行政ができるのは、警告看板の設置や注意喚起が中心となっている。
一方、道路の安全区域を不法に占拠して営業する行為については、取り締まりの対象となる。
行政が合同チームを設置へ
ニャチャン市北部地区の資源・農業・都市局は、峠沿いで露店が再び増加していることを受け、地区人民委員会に報告し、関係機関による合同検査チームを設置する方針を示した。
当局は、ルーンソン峠の該当地域での営業を認めていないとしている。
住民所有の土地については、土地所有者が柵を設置して管理するよう求める一方、公有地については一部区間ですでに防護壁が設置されている。
ただし、現場を常時監視する人員がいないため、行政側も全面的な監視には限界があると認めている。
まずは住民や観光客に対する注意喚起を強化し、崖の縁に近づかないよう呼びかけたうえで、必要に応じてさらなる対策を検討する。
人気観光地と安全対策の両立が課題に
ルーンソン峠は、山と海が織りなす景観を楽しめるニャチャンの人気スポットである。一方、観光客の増加に伴い、道路沿いの露店や無秩序な駐車、崖際での写真撮影など、安全と環境をめぐる課題も表面化している。
特に、崖の近くに飲食スペースを設けることは、景観を楽しむ観光客を危険区域へ誘導することにもなりかねない。
今後は、観光客への注意喚起だけでなく、危険区域への物理的な立ち入り防止や露店の管理など、事故を未然に防ぐ対策が求められそうだ。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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