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ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想 第04回
ロータスグループ

丸亀うどんやcoco壱番屋のベトナム出店、紙おむつや粉ミルクの販売代理店、水産加工品や惣菜の製造、最近では野菜や果物の栽培…。日本企業と提携してロータスグループを築いたメイ社長に、その戦略を聞いた。

日本企業から抜群の信頼

―― 日本語がお上手です。

メイ ロシアの大学に留学していたころ、ロシアの製品は質が高いと友人に言ったら、「日本のほうが上だから、これからは日本を学んだほうがいい」と言われて、帰国後に貿易大学の日本語学科に入学しました。元々、海外との窓口になる語学が好きなんです。

―― そもそも事業のスタートは何ですか?

メイ 以前に日越貿易会の南部の責任者として、日本の中小企業の貿易支援を担当していました。もっと一緒に仕事をしたいというお客様がいて、会社を持っていないというと、「作ったら?」。それで1995年に個人の会社を作り、ベトナムの民芸品、刺繍や手編み、竹細工などを日本に輸出しました。

 その後、1996年に水産加工会社を始めます。日系企業さんの工場設立を手伝ったのですが、協力会社が途中で手を引いたため、私が引き継ぎました。2009年から新工場を始めて、現在ではえびカツや魚のすり身を製造して日本に輸出、国内向けではコンビニやスーパー向けの惣菜や冷凍食品を作っています。

 事業として大きいのは1999年から始めた日本製品の輸入販売代理店です。

―― 販売代理店のきっかけは何ですか?

メイ 日系の製紙メーカーさんが、ベトナムで紙おむつを売るための販売代理店を探していましたが、周囲の反応は「市場価格の3~4倍と高くて売れない」と、誰も手を挙げません。挑戦したいという私の性格がどんどん気持ちを押し上げ、私が手を挙げてしまいました。当時の事業は日本への輸出で、輸入をすればお金が回せると思ったのが一つ。もうひとつは私の子どもがおむつをしていて、ベトナム国内の製品ではかぶれるのに、その製品は全くかぶれなかったからです。

 売り始めたところ、案の定、全く売れませんでした(笑)。そこで、40人のアルバイトを雇い、小さな子どものいる裕福な家庭を調べて、紙おむつのサンプルを送りました。その後、使い心地などをヒアリングしてPRし、徐々に顧客を広げていったのです。軌道に乗るまで5年かかりましたが、社員からは「あきらめましょう」と何度も言われました(笑)。

 次に粉ミルクの販売代理店を始めました。こちらも商品の違いが徐々に認められて、お客様が増えていきました。水産加工も紙おむつも粉ミルクも何も知りませんでしたが、すべて一から勉強しました。

―― なぜ日系企業から信頼を得たのでしょうか?

メイ お取引先に代わって、ベトナム人の目線でブランディングを行い、実績を残してきたからだと思います。意識したのは「一人でも多くのファンを増やす」こと。営業サポートやプロモーターなどを配し、商品キャンペーン、テレビCM、ネット戦略など適切なものを選び、展開しています。

 現在、ロータスグループ全体で社員は2000人ほどですが、そのうち約400人がこうしたマーケティングのチームです。自社製品と輸入品で、販売している商品は500アイテムに上ります。

ベトナム人の財布を開く方法

―― レストラン事業を聞かせてください。

メイ レタントン通りのパークソン内にあるKitchen Japanが最初の店舗です。自社ブランドの和食フードコートで、アンテナショップも兼ねて出店しました。お客様がどんな和食に興味があるかをリサーチしました。

 2番目として初めて日系レストランチェーンと提携したのが丸亀うどんで、2014年の出店です。メインターゲットは当初からベトナム人でしたので、「ベトナム仕様」にこだわりました。味付けはもちろんですが、特に麺の硬さですね。丸亀うどんは讃岐うどんで麺のこしが特徴ですが、フォーに馴染んでいるベトナム人には硬い。そこで、日本人にギリギリ納得してもらえる柔らかさにしました。

 次は2016年開店のちよだ鮨で、初めての寿司のお店です。そして今年8月にカレーのCoCo壱番屋をオープン。ホーチミン市にある、ベトナムで一番高いビルと話題のThe Landmark 81に出店しました。

―― 麺料理や寿司と違って、ベトナム人にカレーを食べる習慣はないですよね?

メイ だからチャンスなんです。カレーは日本のソウルフードであり、母親が作る家庭の味、そして健康にも良いとアピールしています。若い人に受けると思いましたし、特に店舗のデザインが大切だと感じました。そこでデザイナーには「若いカップルがデートで入りたくなる店にして」と依頼し、広い店内をお洒落なインテリアで飾り、ソファーも置きました。日本のように回転効率を高めたカレー店のスタイルでは、ベトナム人は来たがりません。

 日系レストランのターゲットとするお客様は、若いカップル、友人同士、ファミリー層などで、チャレンジングで和食が好きな人々。月収は10万円程度と想定しています。CoCo壱番屋は来年3月に、イオンモールのタンフーセラドン店に2号店を出店予定です。

―― 最近は野菜栽培も始めています。

メイ 北海道の農家さんと協力して、中部高原地帯のラムドン省でイチゴを栽培し、北海道の企業さんと設立した合弁会社で、同じくラムドン省でトマトを栽培しています。売行きはとてもよくて、その理由は糖度の高さだと感じています。特にトマトは北海道より高地で作るので、一般的なベトナム産トマトの倍の糖度があるんです。

 日本の食品を販売してほしいというご希望は多いのですが、メイドインジャパンは高いですし、メイドイン北海道はもっと高い。ならば、日本と同じものをベトナムで栽培したいと思いました。イオンさんや高級食材店などで既に販売しています。

―― 本当に数多くの「日本」を流行らせています。その秘訣は何ですか?

メイ まずは正しい市場調査です。そして、商品のコンセプトと特徴がベトナムに合うかどうかを検討します。価格が安い・高いではなく、その金額を出す価値を感じるかどうかです。ベトナム人はお金に厳しいですからね(笑)。

 健康は大切ですし、子供にもお金を使いたい、きれいな家にも住みたい。全部は無理だから、ベトナム人は優先順位をつけます。飲食であれば、外食は特別なこと。パーティ、イベント、デートなどの理由があります。そこにお金を使ってもらえるかどうか。競合他社がいたら相手を勉強して、より価値の高いものを作っていきます。

 それと、日本人は商品が作るのは上手です。質をどんどん高めます。でも、パッケージにその良さを伝えきれていないことがあります。高いからこそきれいでワクワクするお洒落なパッケージで飾って、その価値を知らせるべきだと思います。

 でも一番強く私を動かしているのは、「日本の商品とサービスでベトナム人の生活を華やかにしたい」という想いです。これは会社のスローガンにしていまいして、2000人の社員とともにこれからも頑張っていきます。

LOTUS FOOD INVESTMENT & DEVELOPMENT JSC
レ・バン・メイ Le Van May
飛び級で大学に入学し、大学1年の時に16歳でロシアの大学に国費留学。帰国後に貿易大学に進学。卒業後は日系商社、日越貿易会を経て、1995年に現社の前身となる企業を設立し、今年で21年目を迎える。