ベトナム国内のワクチン開発をおこなっているNanogen社のホー・ニャン社長は、同社のCOVID-19ワクチンであるNano Covaxの臨床試験で1万4000人に接種をおこなったところ、重篤な副反応を示した人はおらず、死亡者はゼロで、副反応の発生率の非常に低い結果となったと発表した。
7月29日の夜、グエン・スアン・フック国家主席がホーチミン市を訪問中に、Nanogen社を訪問し、Nano Covaxワクチンの進捗状況について報告を受けた。
この会議の席上、Nanogen社のホー・ニャン社長は、COVID-19感染拡大防止のために、治療薬とワクチンの開発任務を与えられてから、同社ではNano Covaxワクチンの開発のために千人以上のスタッフを動員してきたと述べた。
2020年12月までにNano Covaxは初回の臨床試験を実施し、その後の7か月間に第1段階から第2段階、第3A段階までの臨床試験を実施してきた。3A段階の臨床試験では、デルタ株を含めて良好な免疫性を示し、有害な反応は出ていない。
1万4000人を対象とした臨床試験でも、重篤な副反応や死亡者は出ておらず、副反応率も非常に低い結果となった。
ニャン社長は、現在インドを含む約30か国から技術移転の要望が来ていると述べた。さらに、WHOもNanogen社のワクチンを世界基準ワクチンに登録するための審査をおこなっている。
ワクチン製造能力について、現在Nanogen社では月間1000万回分の製造能力があり、今年の10月には、月間3000万回まで製造能力を増強させることが可能だとしている。
ニャン社長は、現在のような緊急事態下では、国家主席から首相と関連省庁に対してNano Covaxワクチンの条件付きの緊急承認を第3B段階と第4段階の臨床試験と並行して、今週か来週には出すように提案してもらいたいと述べた。
これを受けてグエン・スアン・フック国家主席は、現在の感染拡大とワクチン不足の状況下において、国内のワクチン開発と製造は、緊急の課題であるとの認識を示した。「ワクチンは、国家の緊急課題であり、国民の健康と医療の安全を保障する上で、国内ワクチン開発は、非常に重要である」とフック国家主席は述べた。
フック国家主席は、積極的にワクチン外交を展開し、何度も電話会談をおこなってきたが、ワクチンは依然として不足していると説明した。ベトナムの感染防止対策は、ワクチン+5k対策しかない。感染状況が複雑化する中で、ワクチン接種と社会隔離措置が感染防止の主要方針となっている。
そのため、フック国家主席は、保健省および、その他の関連機関に対して、国内でのワクチン製造に最大限の便宜を図り、行政手続きを改革し、国民の安全性を絶対に確保したうえで、速やかにワクチン完成までの専門プロセスを迅速化させる様に求めている。
またフック国家主席は、国内ワクチンの評価のためにWHOの専門家を招聘することについて、ファン・ミン・チン首相と合意したと述べた。
「このような大規模な治験を実施した場合、私は常に安全性について質問しています。1万4000人の臨床試験でも死亡者や重篤な副反応の状況を確認して、早期に対策を決定しなければならない。現在のようなワクチンが必要不可欠な状況で、これ以上開発状況を遅らせることはできない」とフック国家主席は強調した。
フック国家主席は、関連省庁に対して緊急状況下でワクチンの科学的かつ客観的な評価を早急におこなうように要請した。保健省に対してもワクチンの使用許可について早期承認を目指すように求めている。
同時に、フック国家主席はNanogen社に対して、常に技術改善を続け、ワクチンの品質を向上させ、望ましくない副反応を最小限に抑えるように努力する必要があると指摘した。
「研究論文によれば、今後も8ヶ月から1年周期でワクチン接種が必要とされており、ワクチンの国内製造需要は非常に大きい。世界中でワクチンが不足しているので、ベトナムのワクチン開発は、ベトナム国内だけでなく世界の状況に貢献するものだ」とフック国家主席は述べた。
出典:29/07/2021 TUOI TRE
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作