掃除をすれば周りがきれいになるだけでなく、心もきれいになると信じているのが一般的な日本人。植村花菜さんの「トイレの神様」が大ヒットしたことからも察せられます。
ところがベトナムでは違いました。朝礼で「毎週月曜日は皆ででオフィス内の掃除をしましょう」と伝えたところ、一部の社員から「私はしません」との申し出。意外な反応に理由を聞くと、「労働契約の業務内容に含まれていないから」との返答。事実には違いないけれど、予想外の反応に言葉が出ませんでした。
しかし、そのスタッフも含めて、掃除が始まったら全員が何事もなかったように参加しています。これがベトナム人気質を把握するきっかけでした。進言したスタッフはおそらく、他のスタッフの意見を代弁しており、「掃除は自分たちの役割でない」と考える人がいたのだと思います。
ただ、それは強い否定ではなく、とりあえず言ってみようとの意図。つまり、自分が違うと思ったことは基本的に伝えるが、それが実現されるか否かは大きな問題ではない。こう考えているのではと思いました。給与改定の面談でも同じで、何も言わない人も多いですが、誰かの代弁で要求を出してくる人、ダメ元で給与アップを求めてくる人がいます。
では、こちらはどう対処したら良いのか。要求は口にしても、人格をかけて主張しているのでないなら、指示すべきことはきちんと伝えて、できないことは無理と言うべきだと思います。そこから話合いも生まれます。失敗から学ぶこと、本当に多いですね。