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早わかり!ベトナム法律事情 Vol.40
伝染させたペットは殺処分に?
ベトナム新型コロナ対策事情

―― この前、ある夫婦の飼い犬12匹と飼い猫1匹を、当局が殺処分したというニュースを聞きました。何とその理由は、ペットがウイルスを拡大させる恐れがあるからだそうです!

ゴアン 感染症の流行地域から、ウイルスを感染させる可能性がある動植物などを持ち出す行為に対しては、政令で2000万VND(約10万円)~3000万VND(約15万円)の罰金となっています。加えて、当該動物の殺処分などの措置が可能と定められています。

 この事件で、夫婦は15匹の犬と一緒にロンアン省から帰省していましたが、その後、新型コロナウイルスの陽性と診断されました。当局は、夫婦の犬たちも感染を拡大させる恐れがあるとして、その犬12匹について殺処分を課しました。

―― そんな可哀想なことを。報道を見る限り、犬から人へのコロナウイルスの感染は明確に証明されていないように思うのですが、その場合でも、殺処分まで課すことができるのですか?

ゴアン 法律上は「ウイルスを感染させる可能性がある」場合には、殺処分の対象になるとだけ記載されています。その可能性がどの程度高くて、具体的なものである必要があるかは、明確になっていません。そのため、今回のような抽象的な可能性でも足りるという解釈が、誤りであるとは言えないように思います。

―― 私がコロナで陽性になると、家で飼っている可愛い犬も殺処分になってしまう可能性があるんですね。絶対にコロナに感染しないように、慎重に行動しないといけないですね。

Pham Thi Hong Ngoan ファム・ティ・ホン・ゴアン
長島・大野・常松法律事務所ホーチミン・オフィス、パラリーガル。2020年名古屋大学法学研究科卒業。現在は法令リサーチ等弁護士の業務のサポートを行う。